チームメイト・筒香嘉智の存在「何年もかけて教えてもらった」
Q.スポーツ選手の方もお子さんがいらっしゃる方はいっぱいいて、その中で次世代の子どもたちに向けてのビジネスや事業を立ち上げてる人がいると思うんですけど、誰かに影響を受けたり、このビジネスを立ち上げるにあたって相談した人はいますか。
関根:コンサドーレ札幌のゴールキーパーで元日本代表の菅野孝憲さん(40)という方。菅野さんも北海道でこの事業(児童発達支援施設)をやられていて、一回見に行かせていただいたりもしたんですよ。現役の選手でっていうところはすごく参考にさせてもらいましたし、いろんなことを話させていただいた。あとは、自分のチームの筒香(嘉智、33)さんもそうです。筒香さんとは一緒に自主トレをやらせてもらって、筒香さんの考え方含めて多くのことを共有していただいてきた。野球選手だけど、まずは人としての部分をもう何年もかけて声をかけ続けてくれた。野球の技術はもちろんですが、人としてや日常の過ごし方などをずっと教えてもらってて、それを還元してる姿も見てるので、さすがだなって。野球の技術を教えるところはあると思うんですけど、僕の見え方は、根本は多分そこじゃないような。もっと深いところをみて、子供たちや子供たちの未来、その本質のところに対して自身の経験含めて何とか還元しようって思ってやられているように感じる。すごく影響はありますね。
Q.筒香さんに何年もかけて人としての考え方を教えていただいたとありますが、どういうところに関根選手は共感して、どう感じましたか。
関根:例えばですけど、矢印の話。「ちゃんと自分の外に対して矢印を向けないといけない。人に対して矢印を向けて、自分だけに矢印を向けるな」っていう話で。ちゃんと相手に矢印が向いてるから返ってくる。チームメイトの関係もそれをするから良い関係になる。そのようなことをより具体的に言われるんですけど、結果それが野球にも繋がってる。野球からじゃなくて、日常のことが多いですね。日常のことで「大気、さっきのこうやってたけど、これって遅くない?」、「そこの前に動けてたらよくない?それって野球のときのあの場面と一緒だよね」みたいな感じです。
Q.すごく周りを見てる方なんですね。
関根:例えばでいうと、グラウンド整備。自主トレ時は自分たちで設営をします。設営をするときに先輩がボールを持っていたとして、気づいてから動くんじゃなくて先に準備していれば、先輩に「代わります」って言わなくて良いじゃないですか。「僕、代わります」っていう時点で遅いよねって。遅いから「野球でいうと打席での一瞬の遅れ、投球に対しての詰まりと繋がる。それを作ってしまったらもう打てないよね」って。また、例えば人と通路でぶつかることがあったとして、「これってまずもう見えてないよね、そうなる前に自分が引かないといけないよね、先に周りを見て相手を通したらそのようにならない」。ぶつかってから、「すいません」って言ってる時点で、遅いよねって話です。そのような視線や考え方、日常の部分と野球のつながりを丁寧に本当に根気強く言ってくださっていた。
Q.それが今の関根選手に活きてるみたいなことですよね。
関根:それは、すごくあると思います。野球もそうだし、何かを改善していくときの思考も、その物事が起きたことに対してだけじゃなくて、「これが起きたってことは、原因ってもっと前にあるよね」っていう思考にもしてくれました。野球でいうと、打席で打つときにインパクトのところがありますよね。インパクトのずれを改善しようとして、そこの部分だけ改善しても中々うまくいかない。良い結果が出るときはあっても稀かなと。インパクトの前にトップがあって、トップの前に構えがあって、構えの前にネクストでの時間があって、ネクストの前にはベンチでの準備時間があって、ベンチの前には練習があって、練習の前にはウォーミングアップがあって、アップの前には食事があって、さらに前には寝るがあって。じゃあどこを改善したら、っていうことですね。インパクトを作るのに、そういう日常の部分が含まれている。「こんなことも実は野球の一部だったよね」っていうのも、それも何年もかけて。「あ!」って結局気づくまでにめっちゃ時間かかったんですけど、言っていただいていたのは、いつもそういうことだった。
Q.それがビジネスにも繋がってる部分が。
関根:そうなんですよね、これを繋げていかないといけないと思いますし、これからいろんな課題が出てくると思うので。じゃあそこなのか、それとももっと前なのかっていう思考を。僕自身はそれですごくいろんな感情の面もそうなんですけど、いろいろ良い方向にいってるので、その考えを共有できたら、きっとスタッフの方にとっても良い引き出しになる。それが正解とは思わないですけど、一つの引き出しにはなると思うので、共有できたら嬉しいっていう考えではあります。

Q.筒香さんもそうだと思うんですが、この人のこの考え方が尊敬できるなみたいなのがある中で、関根選手はどういう人になりたいとか理想像はありますか。
関根:できることが僕には限られてる。ただそのような経験や思考を大切にしたいです。佐藤真澄さん(『グローブ』の児童発達支援管理責任者)と多く話し、理解を深めること、グローブスタッフ全員のことをしっかり考え、スタッフにとってもよい環境を作ることができる人間になりたい。なんか憧れとかはそんなになくて、周りにすごい人たちはいっぱいいるからそこから学ぶことは怠らず。そこから自分に持ってるもの、今あるものを今あるところに対してアプローチできるように取り組んでいけたら。必要なことを日々スタッフからや、筒香さんの言動からも学んでいるし。だから半径1キロとかをやるんじゃなくて、5メートルくらいの僕が手を広げたら届くところの人を・・・
Q.幸せにするために今動いているみたいな。
関根:事業って言ったら一気に遠く見えがちだけど、でもやれることは限られてるから、そこに対して日々頑張る。できないことがいっぱいあるから、ちゃんと頼ってやっていきたいです。