東日本大震災の津波で児童と教職員が犠牲になった宮城県石巻市の大川小学校。この学校で妹を亡くした女性が制作した映画の劇場公開が始まりました。一度は封印したいとさえ思った作品の公開を経て、次の目標に向かって歩み始めた映画作家の女性を取材しました。

■実現した「夢」 ふるさとで撮影した映画が“劇場公開”

2月14日から石巻市の映画館で東日本大震災をテーマとした2本の映画が上映されています。「春をかさねて」と「あなたの瞳に話せたら」。制作したのは、石巻市大川地区出身の映画作家、佐藤そのみさん(28)です。

映画作家・佐藤そのみさん:
「震災と私との関係性をどうしたらいいのかというのを常に考え続けてきました。その中でこの2作品を作るということがとても重要でした」

そのみさんは、震災の津波で児童・教職員84人が犠牲となった大川小学校で、6年生だった妹のみずほさんを亡くしました。

小学6年生の頃から大川を舞台に映画を撮りたいという「夢」を持っていたそのみさん。中学2年生で被災した後もその思いは変わりませんでした。

佐藤そのみさん(撮影当時):
「(妹には)四苦八苦している私をみて笑ってくれたら」

映画という形で震災やふるさとと向き合おうと、大学の映画学科在学中の2019年、大学や地元の人たちの協力を得て2つの作品を撮影しました。