取材する喜び、表現する意味を考える

堀川さんからも、会場からも、「こうしたらいいんじゃないか」「ああしたらいいんじゃないか」と、いろいろな意見が出てきます。ある作品について、こんな言い方もされました。

堀川: 今日拝見した映像よりも、今のお話が、すごく面白かったです。すごく大事なテーマの、一番末端のところを触っているんだけど、何となく全体像も見えてこないし、何が問題なのかということをどこかでなるべく早めに見せて、その一つの課題をどう解決するか。つまり、視聴者がこの何分間かの番組を見続けるための構造が、ちょっとできてなかったという印象があるんですよね。すごく大事な問題なのに。

「制作者からの説明が映像より面白い」と言われたら、非常につらいですよね。
でも、堀川さんはもちろんほめてもいるので、愛のムチみたいな感じでした。
若手の記者やディレクターに、ほめるところはほめて、厳しく言うところは言って、それを題材にみんなが議論する、そんな熱い会議になりました。
懇親会でも、堀川さんの前に人だかりができました。ちょっとでも話を聞いて「どんな意見をいただけるだろうか」と、みんなものすごく熱くて。

登壇が終わって

こうした取り組みは、あまり世の中には知られていないと思うのですが、メディアにいて、取材をする喜びを感じたり、表現することの意味を考えたり。
それを忘れず、日々考えながらやっていかなきゃいけないということを、参加者140人みんなが考えたはずです。私は「やってよかった」と思いました。
引き続き、「福岡メディア批評フォーラム」は開催していくつもりです。福岡からいい番組がいっぱい生まれたらいいなと思っています。

筆者(RKB神戸)

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。学生時代は日本史学を専攻(社会思想史、ファシズム史など)。
毎日新聞入社直後に雲仙噴火災害に遭遇。東京社会部での勤務後、RKBに転職。
やまゆり園事件やヘイトスピーチを題材にした映画『リリアンの揺りかご』(2024年)は各種プラットホームでレンタル視聴可。
ドキュメンタリー最新作『一緒に住んだら、もう家族~「子どもの村」の一軒家~』(2025年、ラジオ)は、ポッドキャストで無料公開中。