9月の東京2025世界陸上へ、マラソンの代表争いが大詰めを迎えている。中でも熱く燃えているのが、現日本記録保持者の鈴木健吾(29、すずき・けんご)選手に番組キャスター・高橋尚子(シドニー五輪女子マラソン金メダリスト)が迫った。

苦しんでいた日本記録保持者

4年前、21年の琵琶湖マラソンで2時間04分56秒の日本記録。日本男子では初の4分台を叩き出した逸材はその翌年の22年、世界陸上オレゴンで初めてマラソン日本代表となったが、レース前日に新型コロナウイルス感染で欠場してしまう。ここから歯車が狂い、長いスランプに陥ってしまう。パリ五輪代表の掛かったMGCで途中棄権、24年東京マラソンで28位と苦しむ。それでも走り続けた理由とは。

苦しんていた日本記録保持者・鈴木健吾。それでも走り続けた理由とは。

Q.22年世界陸上オレゴン以降でも持ち続けた日本代表への思いは?
鈴木:

掴んだ代表だったので、むなしさというか吐き出せないものがあったんで、引きずらないと思ってても引きずったかなっていう所はあります…そこで世界の強い選手たちにチャレンジ出来なかったっていうのはずっと心の中にあります…オリンピックにっていう強い思いももちろんありますし、でもオレゴンに出れなかったっていう思いもあるので、世界選手権っていうのも強い思い入れがあります…自国開催っていうのはなかなかあるものではないと思いますし、その中で日の丸をつけて走れたら、本当に嬉しいっていうか、一生残るもんだなっていう風に思いますし、世界陸上を走れなかったっていうのは世界陸上でしか返せない部分は少なからずあるのかなっていう風に思っています。

Q.日本代表に憧れたきっかけは?
鈴木:

一番は記録ってよりかは、代表、自国の自分の国の国旗をつけて走りたいっていう思いがその社会人で競技を続けるにあたって、ずっと目標にしている事なので、そこは一番強い思いがあります…それこそ高橋尚子さんとか、今まで日の丸を背負ってマラソン走ってきた人たちが過去にいて、その人達がメダルを獲って活躍してる姿っていうのはこういう選手になりたいなっていう部分だったり、僕もそういう思いをしたいなっていう所は僕に限らずみんな持ってんじゃないかなっていう風に思います。

世界最速夫婦の絆

鈴木にとってマラソンを通して、人生を大きく変えた思い出がある。それは妻であるマラソン選手の一山麻緒(27、資生堂)との出会いだ。東京五輪選手選考の掛かった男女合同で開催されたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)のレースで、二人は初めて会話をしたことをきっかけに交際がスタートし、2021年12月に結婚。ちなみに、2人は同じ大会(東京マラソン2022)での夫婦の合計タイムでギネス世界記録を更新。名実ともに『世界最速の夫婦』となった。

Q.パリオリンピック™に向かう中で、一山麻緒選手も「ここを支えてくれたのは健吾さんだった」と本人も言っていたがどういう風に支えられたのか?
鈴木:

特別何かしてるわけではないんですけど、僕が走り続けているからこそ彼女も走り続けているっていう部分はあったと思うので、そういう部分でお互いが刺激をもらってたっていう状況なのかなって僕的には思ってます。
Q.やっぱりパリ五輪での一山選手の激走を見て…
鈴木:

東京五輪終わってから2人で目標にして一緒にっていう所で、目標にしていた所だったので、僕が行けなかったっていう申し訳ないというか、2人で達成できなかったっていう悔しさもありますし、それ以上に2大会連続で代表になってっていう彼女の強さっていうのを改めて近くで感じました。
Q.大きな刺激になる
鈴木:

現地まで私も連れて行っていただいたので、そういう部分で彼女の凄さっていうのも感じましたし、東京五輪も応援に行ったんですけど、それはコロナ禍だったので、本当のオリンピックっていう感じでは少しなかったんですけどパリに行って現地のこのオリンピックっていう雰囲気を肌で感じて、改めてここの舞台でっていう思いが強くなりました。