政府が備蓄米の放出を決定 専門家「“ちょうどよく”は難しい」

備蓄米とは、コメの不作などに備え、毎年政府が20万t程度のコメを買い入れ、5年分とっておき100万t程度ストックしておく仕組みです。不作などでない限り、5年持ち越したあとは放出せず飼料用などとして販売していますが、1月31日、政府は方針転換を発表しました。
これまでは、震災や不作でコメがない時にのみ放出してきましたが、今後は「流通に支障が生じる場合」にも放出することを決めました。
ただ、放出する際は“買い戻し”が条件となります。政府が1年以内に売り渡した備蓄米と同等・同量の国内産米の買い入れを行うということですが、その思惑は「コメの価格の高騰は抑えたい」が農家を守るために「下がりすぎは避けたい」という策のようです。
しかし、コメ政策に詳しい宇都宮大学の小川助教は「“ちょうどよく”は難しい」と話します。市場にコメはあると考えると、大量放出すれば価格が下がりすぎ、少ししか放出しないとなると価格を動かすのは難しいのではないかということです。
また「買い戻し」が足かせとなり、1年後に奪い合いになる可能性もあるのではないかといいます。さらに、業者は政府の動きを見てコメを売ったりストックしたりと「後出しじゃんけん」ができることからも、成功パターンが少ないということです。
それでも、政府が今回この政策を進めようとする理由がもう一つあります。コメが安くなりすぎると困りますが、輸入米が多く出回って安くなるよりは、国産米のほうがコントロールがしやすいため良いということです。
何年産のコメを放出するのか、どれだけ放出するのかなどの条件を、政府は2月14日に発表する予定です。














