■娘に彼氏=淫乱の罪…“神”に許されるためアパート売り5千万献金した母

女性は脱会した今も母親にすり込まれた考え方によって行動をしばられていると話す。


旧統一教会信者2世の女性 
「恋愛の禁止に関しては辛かったことなんですよね。神様が決めた人以外の人を好きになると天国へ行けない、地獄に落ちる(と教えられていた)。私はそれから好きな男の子ができるたびに、今でもそうですけど、深い罪悪感を感じるようになった」


こうした考え方は、旧統一教会の教義だという。「小学生のための原理講義」という本。表紙には文鮮明氏と韓鶴子総裁が描かれている。イラストを交えながら、教団の教義を子ども向けに解説したものだ。


この本の中で悪い心を持っている人には「サタン」=悪魔が近づいてくると説かれている。漫画やテレビを見ること、女の子は化粧などをすることも「サタンに利用される」と教えられるのだ。さらに・・・


「淫乱の罪というのは、強盗、殺人以上の罪で、地獄に行ってしまうような罪である。」

女性が教義に反すると母親は激怒し、一層、教団活動にのめり込んでいったという。

旧統一教会信者2世の女性 
私が彼氏を作ってしまったので『サタン圏に落ちてしまった』と。

ーーお母さんにとっては許せないこと?

旧統一教会信者2世の女性 
「本当に許せないことだったんだと思います。賃貸アパートを1棟持っていたんですね。その家を売って献金してしまった。」


このとき母親は、5000万円の献金をしたのだという。

旧統一教会信者2世の女性
「(母親は)『私は先祖と子孫を救ったんだ』という主張で絶対に折れなかったんです。正しいことをしたって。せっかく私が頑張ったものを神に献金を捧げて許してもらうためなんだからと」

■児童相談所「宗教の問題は対応できない」教団の“虐待行為”も相談できる場所なく…


信者2世が国に救済を求める動きもある。


9月28日、信者2世の高橋みゆきさん(仮名)が国に対し2世を守る体制づくりを要望する署名を提出した。「宗教2世に信教の自由を」と題された署名は安倍元総理銃撃事件の翌日から開始され7万筆を超えた。高橋さんも幼い頃から恋愛の禁止など信仰を強制されてきたが、それは教団による“組織的な虐待行為”だと訴える。


旧統一教会2世 高橋みゆきさん(仮名)
「両親からしたら自分の子どもに地獄に行って欲しくないという気持ちもあるけど、それとは別に自分たちの人生をかけて築き上げてきた信仰。歩んできた両親のすべてが破壊されてしまう、そういうふうに教えられている。だからこそ子どもに対しても祝福結婚だとか統一教会の教えを信仰させたりとか、そういうものを強制せざるを得ない。親からしたら。統一教会の指導による親を使った子どもの束縛、組織的な虐待構造が意図的に作られていると私は考えています」

その上で2世にとって相談できる場所がないことが問題だと指摘する。


旧統一教会2世 高橋みゆきさん
「実際に例えば児童相談所とかに対して被害を訴えた、しかし「宗教の問題には対応できない」と言われて門前払いされてきた。国からも見捨てられてきたというのが宗教2世被害の大きな深刻な悩みになっています。他の虐待となんら変わらずに差別せずに、虐待被害としての対応をしてほしい」