中国への追加関税を発動したアメリカのトランプ大統領。中国も報復とみられる関税を課すことを発表するなか、貿易摩擦の影響は、イベントなどには欠かせない「花火」にも及んでいます。

先月、大統領就任の祝賀行事で花火を鑑賞したトランプ氏。

アメリカのイベントを彩るのに欠かせない花火ですが、実は97%が中国で生産されています。

中国湖南省・瀏陽市。

記者
「こちらの場所、周りにある店はすべて花火の専門店です。大量の花火が販売されています」

花火工場や販売店が数千軒も並ぶ、まさに“世界最大の花火の街”です。

店員
「3個で10元です」

この街では中国から輸出される花火のおよそ7割を生産していて、最大の輸出先は「アメリカ」です。

トランプ政権は4日、中国製品に対する10%の追加関税を発動しました。

販売業者からは不安の声が…

花火販売業者
「関税が上がれば、消費者のコストが上がりますよね。これ以上価格が上がれば消費者の購買意欲が減るので、一定の影響があると思います」
「この街の経済に間違いなく大きな影響を与えると思います。関税を上げないでほしいです」

実は不安に思っているのは、中国側だけではありません。

トランプ氏は、第1次政権でも中国への制裁の一部として花火の関税引き上げを検討しました。しかし、このときアメリカの業界団体などが花火大会のコストが上がるとして反対運動を展開。関税引き上げはギリギリのところで回避されたのです。

花火イベント会社 担当者
「この倉庫にあるものは100%中国製です」

年間3500以上の花火のショーに関わるという、アメリカ最大手の花火イベント会社。トランプ大統領が見た就任祝賀行事の花火も、この会社が手掛けました。

社長は、生産を中国に依存するなか、関税が引き上げられることに危機感を持っています。

花火イベント会社 ビターレ社長
「少なくともイベントレベルの花火については、製造をアメリカ国内に戻す計画はありません。我々は、関税は花火業界では意味がないということを政権にできる限り伝えていきます」

記者
「花火が打ち上がりました。観客からは歓声が上がっています」

新たな火ぶたが切られた米中貿易戦争。一方の中国は、アメリカに最大15%の追加関税を課すと発表しています。

アメリカ トランプ大統領
「(Q.中国の報復関税の受け止めは?)結構なことだ」

強気な姿勢を崩さないトランプ氏。

アメリカ トランプ大統領
「(Q.習主席とはいつ協議するのですか?)適切な時期に話すでしょう。急いではいない」

関税をめぐり、トランプ大統領と習近平国家主席は近く協議するとみられていますが、その行方は市民の楽しみにも大きな影響を与えそうです。