1月20日に17歳の誕生日を迎えた陸上・女子800mの日本記録保持者、久保凛(17、東大阪大学敬愛高)。学校の友人からは誕生日に「筆箱とか定期入れとか食べ物とかたくさんもらいました。地元の友達もメッセージをたくさんくれて、家でもたくさん祝ってもらいました」と笑顔を見せる。

飛躍のシーズンだった2024年は衝撃の走りを連発した。4月にシニアデビュー戦となった金栗記念では、憧れと語る田中希実に競り勝ち優勝。6月の日本選手権で日本一となると、7月には日本人女子が達成する事が出来なかった領域にさらりと足を踏み入れた。自己ベストを約3秒更新し1分59秒93をマーク。16歳にして日本記録保持者になると、去年12月に行われた全国高校駅伝では800mが専門ながら4.0975km(2区)を走り、16人抜きで区間賞を獲得。見ている人の度肝を抜いた。

SNSやネット記事では驚きや称賛のコメントが多くある中「長い距離を走らせたらケガをする」などのコメントも散見された。久保は「去年の冬は駅伝で長い距離もしっかり踏んで。ジョグは6 キロぐらいなんですけど、春に走り始めたときは、スピードと持久力も上がっている感覚がありました。その上でたくさん試合を経験できたり、怪我なく練習出来ていることが良かったと思います」と話した。

練習では長くても1日6kmまで。それは、指導する野口雅嗣監督との今でも変わらない決め事だ。さらに、高校入学後から継続してきた体幹トレーニングが、久保のブレないフォーム、故障をせず練習を積める体を作ってきた。

野口監督は「線が細かったところを鍛えて、足りないところはたくさんあると思うんですけど、そこは体の成長に合わせて少しずつ。記録への貪欲さも出して、次のステージを練習しようと日々続けてくれています。他の子にも言うんですど、久保が元々持っている力だからできるとか、そんなことではなくて、日本一練習を我慢している選手だから、日本一なんだ。苦しいと思うようなことを普通にやってしまうことができるから強いんだよって」。

これまで久保は高校に入学してから、800mの自己ベストを10秒以上も伸ばしてきた。順風満帆に見えるが、日本記録を出して以降、それを超えないといけないというプレッシャーとの戦いが始まり、大会で優勝しても涙を流す姿が見られた。

「記録を出さないとっていう気持ちがすごく出ちゃっていた部分があって、優勝は出来ても、悔しさの方が大きかったり、記録が出せないと思い通りにいかないっていう。その中で、初心に戻って陸上を楽しむっていう部分が大切かなっていうふうに野口監督と話した時に、改めて気付いた部分があって、陸上を楽しんで取り組めるっていう部分が、自分のいいところかなと思う」