冬の定番、ミカンの価格が例年にない高値となっています。物価高騰が続く中で比較的買い求めやすかった果物に何が起こっているのか取材しました。

大分市で直売所などを運営する「幸青果」。例年60トンのミカンを保管する貯蔵庫には3分の1の量しかありません。

(幸青果の担当者)「いつもですと、ここまであるんですけど、こんなにすっからかん状態」

旬を迎え、大分産に愛媛産と様々な品種が並ぶ直売所では、入荷量の減少で価格に変化がみられます。

(買い物客)「安くておいしいと思ってたけど今年は高いね」「寒くなったら途切れないように食卓の端には置いてるんですけど、今年はちょっと途切れますね」

農林水産省の調査によりますと、1月のミカン1キロあたりの平均価格は12月より約200円高い969円で、前の年の1.3倍以上となっています。

県内有数の産地、津久見市の農家ではこれから収穫期を迎えるサンクィーンの袋掛けを行っています。今シーズンは「裏年」で、元々量が少ない上に夏の高温や秋の長雨など天候不順が重なり、全体的に量が少ないということです。

(柑橘農家・西村誠史さん)「ミカンの青みがずっと残って味が乗らず、成果品がとても少ない。資材の高騰もあって価格もちょっと高めというので、大変消費者には買いづらい果物になってしまった」

県の研究指導センターでは、施設内に植えているミカンの糖度と酸度を定期的に測定し、出荷時期の目安をホームページで公開しています。その一方で、近年著しい気候の変化への対策についても研究を続けています。

(県農林水産研究指導センター 山口竜一さん)「気候の変動の大きさについていけない。恒久的にできる対策が今のところない状況です」

(柑橘農家・西村誠史さん)「気温の変化で、今までなかった作業工程も必要となってくる。雨が降らない時には水をまいたりして、そういった観察力が必要。高いお金を払ってでも納得して買ってもらえるようなミカンを今からは作っていかないといけない」

“庶民の果物”のイメージが強いミカンも、気候変動をはじめとした様々な環境の変化でいずれ高嶺の花となる時が来るかもしれません。