長時間にわたるフジテレビ会見 港社長「中居氏に怒りある」

小川彩佳キャスター:
「女性のプライバシー」という言葉が多く飛び交った会見でした。もちろん最大限尊重されるべきはプライバシーだと思うんですが、その言葉を盾にして先送りしたり、目をつぶってきた問題はなかっただろうかと。ある種、言い訳のように響いてしまった場面もあったように思います。藤森さんは会見場に行っていましたね。

藤森祥平キャスター:
ようやくフルオープンで、全ての質問に応じるスタンスで会見が続いていましたが、大きな局面を打開するような、新たな事実が次々と出てくるという感じではありませんでした。信頼回復に向けた思い切った改革や、今後に繋がるような期待感は、残念ながら今回の時点ではあまり伝わってこなかったという印象です。

会見で新たにわかったことです。

食事会でフジテレビ社員の関与があったかに関して、
【2023年6月 当該食事会】 
フジテレビ社員の関与確認できず
【2023年5月 中居氏宅のバーベキュー】
フジテレビ社員が女性を誘う
という言及がありました。

女性アナウンサーの接待について、フジテレビの港浩一社長によると、
女性アナウンサー同席の食事会はあった
▼上位の立場の人間が誘ったときに気が進まなかった人もいたのではないか
ということです。

「中居氏という国民的スターだったから守ろうとしたのではないか」という質問について、港社長は「そういう気持ちはありません。中居氏への怒りはあると取ってくださって結構です」と答えました。

私が気になったのはこの「怒り」です。中居さんに対する怒りがある中で番組出演をずっと続けた形になりました。「(被害にあったことを)誰にも知られないようにして女性に職場復帰してほしい」という願いを最優先に考えていたはずなのに、女性が職場に戻ってこられる環境を整えるどころか、「中居さんの出演をやめることが刺激になってしまう」という理由で降板を見送ったとなると、「どちらを守ったのかな?」という疑問符がつきますよね。

AIエンジニア 安野貴博さん:
言いたいことが2つあります。1つ目は、フジテレビは今回の会見をもっと良くできただろうと思います。社としてできることをやりきっていないという印象です。例えば、日枝さんに関する批判や質問が絶対に来るとわかっているので、筋論としてフジテレビの問題だとしても、日枝さんを出した方が「これから社を変えていく」というメッセージが強く出たと思います。それができなかったのが残念です。

もう1つは、「中居さんが悪い・フジテレビが悪い」で終わらせていい問題ではないと思います。これはフジテレビだけではなく、メディア全体の文化・風土の問題ではないか。メディア業界は、人と人との権力勾配、権力の違いがすごく大きな業界なので、パワハラ・セクハラ文化が広がりやすいと思っています。

私の妻も以前在籍していた出版業界の会社でハラスメントの被害に遭って大変悩んでいたことがあります。そのような姿を見てきたので、今回の事案を機に、本当に業界全体として変わってほしいです。

小川キャスター:
風土という点でいうと、昔のやり方を引きずってきたところがあると。会見で「時代に合わせてアップデートしていかなければならない」という幹部の言葉がありました。ただしこれは時代の問題でもなく、その時々で苦しんだり傷ついたりして泣き寝入りしてきた当事者がいるかもしれないという認識の上で、業界全体で構造的な問題がなかったかを点検していくべきだと思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
本来テレビを含めメディアはタレントや芸能事務所をちゃんとグリップしなくちゃいけない。ところが段々とタレントの影響力が強くなって、もう抑えが効かなくなり、それがジャニーズ事件にも出てきました。

今回フジテレビ側の説明では「女性の人権を軽く見ていた」と言っていますが、反対に何を重く見てたかといえば視聴率儲け主義だということです。それによって結局、中居さんにはまともな事情聴取をせず番組を継続させていく、ということになりました。そういう体質を変えない限り、またこういう問題が起きます。