被害者全員の救済へ

徳田靖之弁護士:
「優生保護法の問題は戦後における人権課題の中で最も社会全体が放置してきた問題です」

おととし6月、人間としての尊厳を侵害されたとして、大分県内で初めて60代の女性が国に損害賠償を求める訴えを起こしました。

同様の裁判は全国各地でも行われ、最高裁は去年7月、違憲判決を出して国に賠償を命じました。これを受けて被害者に補償金を支給する法律が1月17日に施行されました。

佐藤朗弁護士:
「最高裁がとってきた考え方、判例を変えて救済しました。だから補償ができるので手を挙げてくださいという風な努力をしている段階です」

補償法では被害者本人に1500万円、配偶者に500万円を支給するなどとしていて、県は相談窓口を設けて対応しています。

県福祉保健部 池辺淑子課長:
「不妊手術を受けるという事実そのものが心の傷につながるので、そういった部分を掘り起こすことの難しさを改めて感じています」

大分県内で優生手術を受けた人は746人。このうち不妊手術を強制されたのは663人です。101人分の資料が残っていましたが、転居などで本人に連絡が取れていません。県は現在、戸籍からたどる準備をしています。

池辺淑子課長:
「(記録がない人に対しては)101人の調査を通じて、ほかにも思い当たる人はいませんか?と少しずつ掘り起こしを丁寧にやっていきたい。本当に最後の1人にたどり着くまで、できる努力は全てしたい」