実際に「トリアージ」をする際、まずは、けが人が「歩ける」のか「歩けない」のかを判断します。

■トリアージの色分け(START法、日本赤十字社HPより)
黒:死亡や蘇生の可能性が低く治療対象外の状態
赤:重症で治療の優先順位が最も高い状態
黄:治療を要するが時間的な猶予がある状態
緑:軽症または治療が不要な状態

■けが人が「歩ける」場合
→ けが・病気が無ければ「手伝い人員」になってもらう
→ けが・病気があれば「緑(軽症)」
★ただし、倒壊した建物など重い物に長時間挟まれていた場合は「クラッシュ症候群」の危険性があるため「赤(重症)」

■けが人が「歩けない」場合
→ 呼吸していなければ「赤(重症)」で気道確保し、呼吸が戻らなければ「黒(心肺停止)」
→ 呼吸はしているが「1分間に30回以上または9回以下」の不安定な呼吸なら「赤(重症)」
→ 呼吸していて「1分間に10回以上または29回以下」の安定した呼吸なら「黄色(中等症)」
★ただし、安定した呼吸でも「呼びかけや簡単な質問に答えられない」なら「赤(重症)」

参加者は、災害時で「トリアージ」が必要なケースを想定したクイズに「色分け」で答えながら、知識を身に付けていました。実際に出題されたクイズが、こちらです。

●ケース①
25歳男性。自宅が倒壊したため避難所へ向かう途中に右ひざに擦り傷を負う。出血しているが自分で歩ける。呼吸は1分間に15回で、意識ははっきりしている。
→ 自分で歩けて呼吸・意識に異常は無いので「緑(軽症)」

●ケース②
71歳女性、地震で避難する際に転倒し頭を打ち、ふらついていて歩行は困難。少し意識がはっきりしないが、目を開けたり閉じたりする指示には応える。
→ 自分で歩けず意識障害があるものの、指示には応えるので「黄(中等症)」

●ケース③
23歳女性、地震の際に倒れてきた家具で右の太ももを切り、出血あり。痛みがひどく歩行は困難。意識ははっきりしているが、呼吸数が32回/分。
→ 自分で歩けず呼吸が「32回/分」と不安定なので「赤(重症)」

クイズでは、子どもたちが盛り上がりながら知識を身に付けていきましたが、「自分で判断できない場合は大人に助けを求める」という大事なことも共有されました。

こうした「トリアージ」は、医師や看護師、救急隊員など専門的な知識を持つ人が行うのが望ましいですが、今回は“地域住民”や“子どもたち”がその知識を学びました。この背景には、ある「事態」が危惧されているからです。