災害時、けがをした人に優先順位をつけて対応する「トリアージ」を、地元住民や子どもたちが学ぶ取り組みが、25日、高知市で開かれました。医療関係者や消防隊員などではなく「住民」がこうした知識を学ぶのには、いずれ発生する南海トラフ地震で「ある事態」が危惧されているからです。
この取り組みは、高知市の江ノ口小学校区防災連合会が開催し、授業参観日だった江ノ口小学校4年生~6年生と、保護者や地元住民らが参加しました。講師は、2024年元日の能登半島地震の被災地でも活動した、近森病院救急科の久雅行(ひさ・まさゆき)医師です。

「トリアージ」は、フランス語で「選別」を意味する「Triage」が語源の言葉です。大規模災害などが発生した際に医療機関のひっ迫を防ぐため、「今すぐ助けないといけないのか、少し時間を置いても大丈夫なのか」、けが人の治療に優先順位をつけます。
優先順位をつける際は「黒」「赤」「黄色」「緑」4色のタグを使って色分けします。黒が「心肺停止」、赤が「重症」、黄色が「中等症」、緑が「軽症」です。
今回は小学生への配慮から黒(心肺停止)は用いず、赤(重症)・黄色(中等症)・緑(軽症)の3色で「トリアージ」の方法を学びました。

久雅行医師によりますと、災害時に「トリアージ」を行う際には、「バイタルサイン」を確認することがポイントだということです。これは「生命徴候」と呼ばれる、人が生きていることを示すサインで、「脈拍」「呼吸」「体温」「血圧」「意識レベル」の5つが「バイタルサイン」の基本です。
◆近森病院 救急科 久雅行 医師
「『トリアージ』とは結局『生命兆候=バイタルサイン』を確認する作業になります。①息をしているか、②脈があるか、③意識があるか、これらを的確に確認することが大事です」