“なんとも言えない説得力”と強いポピュリズム

極右政党のAfDは国内メディアの取材にはほとんど応じていないというが、今回、マクデブルク市のAfD市議団の団長を務めるロニー・クンプス氏が取材に応じてくれた。

取材に応じたAfDマクデブルク市の市議団団長 ロニー・クンプス氏

話を聞いて感じたことは、なんとも言えない説得力と強いポピュリズムだった。

移民問題については特に明確だった。

「難民申請の権利がある人はもちろん歓迎するが、本当に難民申請する権利があるのか、きちんと審査する必要がある。残念ながら今ドイツにいる多くの難民はその権利がない。今回の事件の容疑者も難民認定されているが、本当は難民として扱われる理由はなかった」
「厳しい移民政策と言われるが、日本やカナダはすでにやっているじゃないか」

クンプス氏は極右政党の台頭の要因について、市民の意思や有権者の要望を実現できる唯一の勢力だとようやく理解されてきたなどと話した。

AfDは、ドイツのウクライナ支援について「今すぐにやめるべきだ」と主張している。そして、支持を広げる背景として、SNSを効果的に使い若者世代を取り込んできたと地元メディアは伝えている。

こうした中、ドイツ国内では今、あるSNS上での発信が物議をかもしている。

Xを所有するイーロン・マスク氏がAfDの共同代表と対談し、総選挙での投票を呼び掛けたのだ。国内では選挙介入だと警戒感が広がり、ドイツやオーストリアの60以上の大学や研究機関では「公正で民主的な言論を促進する責任を果たせていない」としてXの利用を停止する事態になっている。

次の総選挙で仮にAfDが躍進しても過半数の議席を獲得するのは困難で、政権を担う可能性は低いとされているが、ドイツの情報機関はすでにSNSによるロシアの介入の恐れがあると警戒を強めている。