2024年元日に発生した能登半島地震。被災地出身で、2か月後に本誌に緊急寄稿してくれた北陸放送の平歩生記者が、地震発生から1年経った今の思いを率直に綴った。

記者という仕事をしていても、表現が思いつかないほどの凄まじい揺れから、1年が経ちました。

この1年は瞬く間に過ぎていきました。27年間の人生の中で一番短い1年でした。ただその一方で、能登が揺れたあの日が遠い昔のようにも感じています。

1年が経った2025年1月1日は、被災地でも最北端に位置する珠洲市で取材をしていました。友人や知人にも会いましたが、みんな新年の第一声に困っていました。

本来、元日に会った時、開口一番に言うはずの「明けましておめでとうございます」は言えない。「今年もよろしく」「明けたね」など、歯切れの悪い会話しかできませんでした。

私の実家は石川県の能登町にあります。私が勤める北陸放送の本社や自宅のある金沢市からは車で2時間ほど、能登半島の中でも北の方に位置する「奥能登」と呼ばれる地域です。幸い、実家の被害は少なく家族は全員無事でした。