制度とともに進んだのが人々の防災への意識。
自助、共助、公助の意識です。
北村さんは、その中でも、「共助」の意識はまだ道半ばだと考えています。

元下関市消防局 消防局長 北村満男さん
「規模が大きければ全員のところに支援の手が行き届かないのは当然のことなんですね、そういったときにいま必要なのは、地域の互助の精神に基づく助けあいって言う。もっと力強く進めていくべき、地域の方がその必要性をわかったうえで進めていくべきだというふうには感じています」

北村さんは2018年に消防局長に就任。
後進の指導に力注ぎ2022年に退きました。
災害現場の経験は若手にも引き継がれています。
さまざまな資機材もその教訓から導入されています。

中央消防署 岡崎涼介消防士長
「大きな建物がたくさん倒壊して取り残された方々がたくさんいたというふうに聞いております。阪神淡路大震災以降も東日本大震災であったり他の災害も多く日本で起きていますので全国で導入が進んでいると思います」

下関市消防局の消防士長岡崎さんは阪神淡路の地震発生時にはまだ5歳でした。
記憶は全くありません。


岡崎さんも、熊本地震や広島の土砂災害など大規模災害の現場に駆けつけ、活動にあたった経験があります。

資機材だけではなく全国の消防士たちとのチームワークなど災害への対応能力は日進月歩の勢いで向上していると実感しています。

現場に向かうたびに、先輩たちからのことばが隊員たちを奮起させました。

中央消防署 岡崎涼介消防士長
「『助けてこいよ』って言うことばは、あったように覚えています」「ひとりでも多くの命を助けたいという気持ちが高ぶったのは覚えています」


今月11日、消防士たちが日頃の訓練の成果を披露する消防出初め式がありました。

かつての火消しの心意気を伝える勇壮なはしご乗りに市民から歓声が上がります。

そこには後輩たちを見守る北村さんの姿がありました。

元下関消防局 消防局長 北村満男さん
「穏やかな平和な時間ですけど災害っていうのはいつ来るかわからないんですねぇ、その中でも時には緊張感を持った瞬間が、誰ももっとかんといけんかなと思うんですけどね」

この2日後、宮崎県では最大震度5弱の地震が発生しました。
備えの大切さを改めて見つめ直す時です。