ここにある“ホットマーケット”を追うだけでいいのか
もう一つ番組が訪ねたベンチャーはAIを使ったデジタルプラットフォーム事業を手掛ける『ABEJA(アベジャ)』。

2012年創業で2年前に上場した。創業者の岡田陽介氏は10歳からプログラミングを始めたという。23歳で起業。100%にはならないAIの精度を人が補完することで様々な業務にAIを活用できる仕組みを作り、『ABEJAプラットフォーム』は現在300社以上が導入しているという。新入社員を育てる如くAIに学ばせ続けることで、今では失敗が許されないインフラなどの分野にもABEJAのシステムを使ってAIが活用されているという。
しかし、起業当時はSNSやソーシャルゲームが注目されていて“ひと儲け”ができた時代。AIの基幹である深層学習に興味を示す岡田氏にこんな言葉をよくかけられたという。

『ABEJA』代表取締役CEO兼創業者 岡田陽介氏
「なんで君たちは、(ゲームなどの)ホットなマーケットが今ここにあるのによく分からない“ディープラーニング(深層学習)”というものをやろうとしているんだい?って10人会ったら8人9人から言われた。大企業に説明しても理解してもらえず売り込むために基本的にはテレアポに近い…1日に100社電話しますみたいに努力をしていた」
2016年エアコンの『DAIKIN』と業務提携することで軌道に乗った『ABEJA』だったが、飛躍的に成長するきっかけは、やはり日本企業ではなくアメリカ企業だった。2017年には今を時めく半導体メーカー『NVIDIA』。そして2018年には『Google』と日本で初めて業務提携を結ぶことになった。
『ABEJA』代表取締役CEO兼創業者 岡田陽介氏
「NVIDIAに関しても資本提携前から継続的にコミュニケーションを取ってますし、検討を具体的にして欲しいみたいな形でコミュニケーション取り始めたら“なんかうまくいったな”みたいな感覚的なものですね…労働人口が減る中で、将来的には日本のGDPの7割8割をAIなどが作り出せるようにして、人間はもっとクリエイティブな面をやってGDPを掛け算的に上げほうが明かに経済成長するのでそっちのほうがリーズナブルだと思って仕事してます」
こうして成長する『ABEJA』だが、やはり資金や技術で援助してくれたNVIDIAやGoogleの投資が大きかったと岡田氏は語った。