必要なのは「服」だけでなく自分らしくいられる「場所」
さらに、keuzes代表・田中さんはスーツの販売のみならず、2年前から独自の成人式イベント「SEIJINーSHIKI(せいじんしき)」を始めました。その理由について聞きました。
keuzes代表・田中史緒里さん
「実際に成人式用途で作った方が後日、『成人式に行かなかった』っていう話を聞いたりだとか、スーツ作ってる最中も『行けるかわかんないんですけど』って話をしながら作ってる方もいて、結局そこを深掘ってみると、周りが振袖で参加してる中で1人だけスーツで行く勇気が持てないっていう話を聞いて、私は欲しいものが手に入ったらみんなの悩みは解決できているんだって思っていたんですけど、実際に必要なのっていうのは『物』というよりかは、当日自分らしくいられる『場所』だったり『時間』なのかなっていうふうに思ったので、keuzesで一体何ができるかなって考えたときに独自で成人式イベントを開催しようというところに至りましたね」
keuzesが独自で開催する成人式イベント「SEIJIN-SHIKI」は、18歳から22歳まで参加できて、参加費は無料です。
3回目となる今年は、東京・代官山のパーティ会場で6月頃に予定されています。
性的マイノリティの当事者が全国から集まりますが、地元の自治体の成人式と違って顔馴染みではない為、はじめは静まり返っているようですが、 帰る頃には『来て良かった』と泣きながら話す人もいたそうです。
世代を超えたニーズ
また、keuzesでは、成人式で着ることを目的としたスーツの購入が多い一方、利用者の年齢層が上がってきているそうです。
keuzes代表・田中史緒里さん
「『成人式の写真も封印している』という方や『ちゃんと撮った写真でも前撮りぐらいだから30歳の節目で記念写真を撮る』という方もいらっしゃって、そのためにスーツ作るみたいな人もいらっしゃいましたね。どんどん年齢層も上がってきて、40代・50代の方もいらっしゃるんです。なので制作理由はみんな様々ですよ」

keuzesでは、オーダーメイドスーツの販売のほか、生理用ナプキンがつけられるアンダーウェアの販売、ジェンダーフリーのウェディングサービスなどもおこなっています。
成人式に限らず人生の節目に着られるフォーマルの服装の選択肢をkeuzesが広げています。
TBSラジオ「人権TODAY」担当:久保絵理紗 (TBSラジオキャスター)