■高まる国潮ブランド支持 日本ブランドのニーズは?
若い世代の間で中国ブランド支持が高まる中、日本ブランドへのニーズはどうなっているのでしょうか?
北京のイトーヨーカドーで長年、中国人消費者と向き合ってきた荒井達也さん。中国での日本製品へのニーズは、これまでも度々変化してきたといいます。

中国で1号店がオープンした25年前といえば、中国ではまだ人々の所得も低く、物があふれる今とは全く違う時代。当時は家電などの一部の製品を除き、日本製品の売れ行きは芳しくなかったといいます。
北京イトーヨーカドー 荒井達也総経理
「日本のモノを置いても、それがどういうものか(中国の消費者が)分からないというのが結構あった。日本のブランドが良いということは感覚的にはわかるけど、どれが日本のモノか具体的に判断できる若い人は、まだあまりいなかったと思いますね」
しかし、2015年ごろになると…

中国人観光客による「爆買い」。旅行先で知った日本の製品を中国でも手に入れたいとの声が増え、店内には日本製品や日本ブランドの店舗がずらりと並ぶようになりました。
■爆買いから“国潮”へ 北京・イトーヨーカドーも勝負に
そして今起こっているのが、中国ブランド推しの国潮です。北京のイトーヨーカドーも“国潮”で勝負に出ることにしました。

8月、正面玄関入ってすぐの一等地に構えたのは、中国ブランドのスイーツショップです。
中国の伝統的菓子の製法にこだわりつつ、素材にチョコレートやワインを使うなど
現代風にアレンジした、まさに「国潮」スイーツ。

濱野裕司記者
「午後になって店の前にできる行列が長くなってきました」
オープンして初めて迎えた週末には、隣の店まで続く長い行列が…
スイーツ店の客
「SNSで見てきました」
「このお店の看板商品ミルククッキーでしょ。あと、もち焼き菓子、柔らかくてもちもちしているものが好きだから」
なかなかの売れ行き。ただ客の中には微妙な感想を持つ人も。
スイーツ店の客
「日本のスーパーマーケットで、国潮のものがあるのは、ちょっとよくわかりません。より多様な購買体験をしてもらいたいということなんだとは思うんですけどね。でも大衆には受け入れられやすいと思いますよ」
中国の「国潮」は、日本製品や日本のブランドにとって大きな逆風となるのでしょうか?

北京イトーヨーカドー 荒井達也総経理
「日本が下がったというより、中国の国産のモノが上がってきたと思っている。それで選択肢が増えたと。その中で、うちはどこにチャンスがあるのか見極めていかないといけないと思う」