日本の2050年の姿は
では、2050年の日本はどのようになっているのだろうか。その姿を垣間見ることができるのが、4月に開幕する大阪・関西万博だろう。SDGs達成への貢献を掲げた万博は、SDGsの目標を2030年までに達成するためのプラットフォームになることを目指している。
国内パビリオンの目玉の一つが、関西に集積するライフサイエンスやバイオメディカルなどの分野。「大阪ヘルスケアパビリオン」では、自らの健康情報をもとに2050年頃の自分の姿が映し出されて、未来のフードやヘルスケアを体験することができる。医療分野の技術革新によって、2050年には今以上の長寿社会になっていることが予想される。
また「未来社会ショーケース」では、カーボンニュートラルが実現された未来社会の姿を描き出す。国内初の水素と電気のハイブリッドで航行する水素燃料電池船、一定の条件が揃った際にドライバーを必要としない無人走行ができるレベル4相当の自動運転EVバス、空飛ぶクルマなどのスマートモビリティが会場に揃う予定だ。
しかし、日本の気候変動対策は十分とは言えない。国連加盟国は2025年2月までに、2035年度までの温室効果ガス削減目標を提出することになっている。日本は2013年度に比べて60%削減する方針を2024年12月末に固め、2025年1月26日までパブリックコメントを募集しているものの、この削減目標はパリ協定が目指す水準を満たしていないと指摘されている。
平均気温が大幅に上昇したことによって、2024年はコメが不作となり、生産量や在庫が減少した。海水温の上昇によって漁獲量や海産物の養殖にも影響が出ている。2025年は大阪・関西万博などを通して2050年の姿をイメージすることで、気候変動対策について考えを新たにする起点になるかもしれない。(「調査情報デジタル」編集部)
【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。