焼いたら大丈夫なのでしょうか?

(大野さん)
「カビ毒についてですが、カビ毒は少々の加熱や冷凍では消えません。調理して味付けして、焼いて、くらいではほぼそのまま残ります。また、 カビ毒はごく微量で体調不良を起こすものもありますし、慢性的に摂取することで発がん性や肝硬変の原因になったりするものがあることも知られています。

「カビ毒については、いろいろな種類のものがありますが、特によく知られているカビ毒の一つに「アフラトキシン」というものがあります。Aspergillus flavus(アスペルギルス フラバス、コウジカビの一種で、【画像②】のアオカビ類はPenicillium属で、よく似た種類)です」

「このカビ毒が原因で、1960年にイギリスで10万羽以上の七面鳥が変死した事件がありました。餌である穀物が汚染されていたと考えられ、これを食べた鳥たちが死んだものだとされました」

「カビ毒アフラトキシンにも種類がありますが、アフラトキシンB1は天然物でもっとも強力な発ガン性を示す物質として知られています」

「人に対する急性中毒の例としては、1974年にインドで、これが原因と考えられる肝炎のために106名が死亡した事件、ケニアでの急性中毒事件などがあります」

「慢性中毒については、タイ、フィリピン、南アフリカ、ケニアなどで、肝臓ガン発生率とアフラトキシン摂取量との間に関連性があるとの疫学調査の結果が報告されています」

「ちなみにこの代表的なカビ毒ですが、日本国内でも検出されています。ただし、輸入品からだけ、しかもごく微量であるとされます」

「カビ毒だけではありませんが、気を付けないといけないのは、『急性毒性』と『慢性毒性』ということです。一度にたくさん食べて中毒する、あるいは何もなくても食べ続けているといつか中毒症状が出る、ということです」