お正月に用意した餅にカビが生えて来た…というご家庭があるかもしれません。
カビが生えたらカビの部分を削り取って食べるという話を時折耳にしますが、大丈夫なのでしょうか。

害虫駆除や環境衛生保全に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。

ーカビの生えた餅は、カビを取り除けば食べても問題ないのでしょうか。

(東洋産業 大野竜徳さん)
「カビの生えたお餅ですが、『食べないほうがいい』というのは確かにそうです。カビが生えているのが確認できるのは、カビの種類によってその形は様々ですが、いわゆる『胞子』と呼ばれるものの集合体で、乱暴なたとえですが、私たちが『カビが生えた!』と見えている部分は、カビのお花と種みたいな部分です」

【画像①】アオカビ

「【画像①】は、一番身の回りに多い『アオカビ』です。食パンやお餅、みかんが大好きで、賞味期限など無視してよく生えてきますね。夏場だと数日で青く斑点が出てきます。どこにでもいるカビで、空気中にも胞子がいくらでも飛んでいます。はるか昔に抗生物質ペニシリンが発見されたものの仲間です」

「菌糸(【画像②】)は、細い半透明の糸、カビの胞子ができるときにペニシリと呼ばれる独特のホウキのような枝のような構造が出る種類です」

【画像②】ペニシリ

「菌糸の部分はほとんどの場合、目には見えません。カビの根っこ、と表現されることもある部位ですね。なので、見える部分を削って洗っても、カビの生えた部分(菌糸)は削り切れていないことがよくあります」

「しっかり削って洗ったにもかかわらず、味に『なんか粉っぽい』『かびっぽい』風味がするというのはそれに由来します」