Podcastとは「長い時間を届けられる」最後のメディア
日本にも浸透しつつある、Podcastとはいったい何なのか?
インターネット上で聞ける音声メディアと言えばその通りなのですが、私がPodcast制作者としての実感として、それが現代社会の中でどんな意味を持ってるかというと、一番大きい特徴は、長い話をリスナーさんが聞いてくれる点だと思っています。
まずTikTokやYouTubeショート、Instagramのストーリー、リールに代表されるように、近年とにかくコンテンツが短く早くなっています。
スマートフォンの中に、とにかく早いもの、早くて短いものが無数に溢れている。
発信する側からすると、長い時間、相手の時間をもらうということが至難の技になっています。
こうした現代社会においてPodcastだけが唯一、長い情報が伝えられるものだと思うんです。
なぜかというと、たとえば移動中などスマートフォンを操作しなくても聞けるからです。
ひょっとしたらアテンションエコノミー最盛時代において、最後の長い時間を届けられるメディアなのではないかと私は思っています。
そして、長い時間人の話を聞いていると、やっぱりその方に対する理解というのは当然深まるわけなんですよね。
音声メディアは、声で相手の人柄であるとか、本当にこの話を嘘偽りなく言ってるかなどが、良くも悪くも伝わりやすいとも感じています。
アメリカでPodcastは既にリスナーが1億数千万人いる巨大市場に育っています。
その特徴は日米でそんなに変わりありません。
日本でもこのメリットを遅かれ早かれさまざまな人が気づいていく時代が来るのではないかなと思っています。
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<野村高文>
音声プロデューサー・編集者。PHP研究所、ボストン・コンサルティング・グループ、NewsPicksを経て独立し、現在はPodcast Studio Chronicle代表。毎週月曜日の朝6時に配信しているTBS Podcast「東京ビジネスハブ」のパーソナリティを務める。