「明らかに問題」元検事が指摘 背景にある特捜部の体制とは

 この取り調べにおける“説得”と“脅迫”の線引きはどこなのでしょうか。明確なガイドラインはありませんが、机を叩く行為や『うそだろ!ふざけるな!』『会社の評判を落とした大罪人』といった発言は、「明らかに問題」と元検事・西山晴基弁護士は指摘します。

 では、取り調べ時は録音・録画が義務化されているにもかかわらず、なぜこのような取り調べが起きてしまったのか。

 原因の1つとして、取り調べ時の録音・録画が裁判の証拠となる前例が非常に少ないため、検察官としては“どうせ録画は世に出ない”“証拠採用されない”という安心感があったのではないかと西山弁護士はいいます。実際、田渕検事の取り調べ映像の公開をめぐっては、裁判で地裁・高裁を経て最高裁でようやく決まった経緯があります。
16.jpg
 また、2つ目の原因として西山弁護士は、特捜部にある「チーム捜査」と「縦社会」を挙げています。特捜部は1つの事件をチームで担当するため、取り調べと裁判の担当が分かれています。また、上司が『こういうストーリーだろう』と推測してくるため、現場の検察官は被疑者と上司の板挟みになり、強引な取り調べになってしまうのではないかということです。

 今後の“正しい取り調べ”のためには、積極的に録画を公開することで抑止力につながる、と西山弁護士は指摘します。また、先進国で多く採用されている“弁護士による取り調べの立ち会い”を日本でも早く導入するべきではないかと見解を述べました。