SNSで恋愛感情を抱かせ、金などをだましとる「ロマンス詐欺」についてです。過去最多のペースで被害が増えていますが、「何を言えば恋に落ちるのかたくさん用意していた」と被害者が語る、巧妙な手口に迫りました。
「不倫みたいな感じで…ドキドキしてました」50代女性

取材に応じてくれたのは、50代の斉藤利恵さん(仮名)。相手とのLINEのやりとりを見せてもらうと…
相手からのLINE
「こんなに早く家に着きますか?君が恋しいよ」
斉藤利恵さん(仮名)
「疲れてると思うけど、しっかり美味しいご飯食べてね」

手料理の写真を送るなど、まるで実際に付き合っている恋人同士のようなやりとり。斉藤さんには夫がいますが…
斉藤さん
「なんか不倫みたいな感じで…ドキドキしてましたね」
このメッセージから約1か月後、斉藤さんは相手から550万円もの大金をだましとられることになります。

やりとりが始まったのは、今年3月。斉藤さんのSNSに突然、「今度日本に行きたいがどの季節がいいですか」などとダイレクトメッセージが送られてきたことがきっかけでした。LINEでは相手から繰り返し「美しくて優しい」などと褒める言葉が。
斉藤さんが「写真を見たい」とお願いすると、送られてきたのは、アゴひげをはやした面長の男性。「ソ・ジフン」と名乗っていたことから、斉藤さんは韓国籍の男性だと思っていたといいます。

斉藤さん
「犬みたいなかわいい感じだったので、やり取り重ねるうちにだんだん惹かれていった」
連絡は1分おき。1日200往復を超えるほど、夢中になっていました。
相手からのLINE
「もし私たちが一緒に会うことができればとても嬉しいです。私はあなたを抱いてキスします」
声が聞きたいとお願いすると…

相手からのLINEの音声
「(英語の挨拶)コンバンハ、ハジメマシテ、ドウゾヨロシク」
斉藤さん
「ありがとう!英語も話せるんですか?」
当時のやりとりについて、斉藤さんは…
斉藤さん 
「恋人のようにだんだんなっていった感じです。気がついたらもう心の支えになってました」
そんな恋愛感情を抱き始めていたある日、斉藤さんは暗号資産取引を薦められます。

相手からのLINE
「今日一日中考えて、智勲(ジフン)の暗号通貨取引の富の知識をあなたに少しずつ伝えるつもりです。富に関する知識は誰にも共有したことがありません」
斉藤さんは不安を感じつつ、紹介されたサイトにアクセス。5万円を投資すると、画面上では6000円あまりの“利益”が出ていました。

斉藤さん 
「(Q.実際にサイト上では増えたわけですもんね)疑いもせず、すごいって…賢い人なんだなと取ってしまいました」
その後、「元金を大きくすればもっと利益が出る」などと言われ、斉藤さんは振り込みを続けます。
相手からのLINE
「ハワイのようなところに二人だけの家を買って、一緒に暮らすことができればいいなと思っています」
「昨夜、あなたと暮らしている夢を見ました」
送金後に相手と日本で会う約束をしていましたが、いつまで経っても会えず。暗号資産の取引所も実在しないことが分かりました。詐欺だと確信したときには合わせて550万円をだまし取られていました。

斉藤さん
「相手は私の話を聞きながら、何を言えば(恋に)落ちるのかっていうのをたくさん用意してて。家族で旅行に行けたらいいなって、長年ちょっとずつ貯めてきたお金だったので、それが一瞬のうちになくなってしまって。家族にも申し訳ない」
 
   
  













