9月17日放送の「報道特集~有機農業の未来は?」で取り上げた岐阜県白川町。有機農業をしようと各地から移住した人々を取材しました。山間で農地が狭いため農作物の収量が限られ、副業に頼らざるを得ない側面もありますが、上村彩子キャスターがスタジオでも述べた通り、「半農半X」という、とても魅力的な暮らしをしていました。30代で白川町に引っ越し、今、40代になった彼らのライフスタイルをご紹介します。
■子どもの頃から穴掘りが大好きだった高谷さん
VTRでも紹介した「五段農園」の高谷裕一郎さん(44)は、子どもの頃から土に穴を掘ることが好きでした。土に触れ、アリなど様々な生き物を見つけることに喜びを感じていたそうです。

高谷さんは、山形大学大学院で土壌微生物の研究をした後、横浜の種苗会社でサラリーマン生活。東日本大震災や原発事故に直面し、白川町へ7年前に移住しました。白川町の有機農家たちが1998年に立ち上げたNPO「ゆうきハートネット」のサポートを受け、有機農家になりました。作った野菜は、インターネットで販売する他、有機野菜を多数扱う名古屋のスーパー「旬楽膳」などで販売しています。
高谷さんにとっての「半X」、いわゆる副業は、得意とする有機堆肥づくりに関するものです。堆肥や培養土を売り、一般家庭むけ「生ゴミ堆肥化セミナー」や、農業関係者むけの「堆肥の学校」を開いて収入を補っています。収入の半分は、こうした野菜販売以外の稼ぎだそうです。
■田んぼに放ったアイガモが一晩で襲われた児嶋さん
アイガモ農法に挑んだものの何者か獣に襲われたと話していた児嶋健さん(42)も脱サラして移住した有機農家です。

児嶋さんは東京理科大学を卒業後、エンジニアとして自動車関連会社でサラリーマンをしながら、週末はアウトドア会社のスタッフとしても働いていました。環境問題への興味はどんどん膨らみ、有機農家への転職を決意。32歳で白川町にたどり着きました。
有機野菜を育て野菜セットの通販をするほか、シェフを招いてのレストランや、農業体験、サマーキャンプといった自然体験教室を開催しています。花などを売るエコショップも併設し、ビールの醸造にも挑もうとしています。農園名は「暮らすファームSunpo」。一歩、二歩、三歩と“散歩”をしながら着実に前進していく想いを表現。Sun(太陽)の恵みにも感謝しながら暮らす生活スタイルを提案する意味も込められています。
