「話しかけてはいけない」受刑者は外部との接触一切禁止

私たちの車が「監禁センター」に到着すると、出迎えてくれたのは刑務所のスタッフではなく、政府の広報官だった。そこで政府の取り組みと今回の取材についての注意事項が伝えられた。

印象に残ったのは、「受刑者に話しかけてはいけない」というルールだった。受刑者は家族を含めて、外部との接触が一切禁じられている。逃走中のギャングメンバーとのコンタクトを防ぐ目的もあるようだ。

施設内に持ち込むものも最小限に制限される。刑務所内は通常の携帯電話の電波が通じないよう管理されている。

結婚指輪やパスポートを含め、ほとんどの荷物はエントランスで預ける。その後、空港にあるような機械を使って、セキュリティチェックを受けた。体内に何かを隠していないか調べるための、CTスキャンのような検査も受けた。

担当者は、「施設内に持ち込まれるものは100%コントロールされている」と胸を張る。

“戦場レベル”の態勢 強力な武器に武装した警察官や兵士 

セキュリティゲートを通過した後に私たちが案内されたのは、警備員の“武器庫”だった。ずらりと並ぶ銃などの武器は、日本の刑務所では考えられない強力なものばかり。

この刑務所は受刑者の暴動だけではなく、外部勢力の襲撃にも備えている。戦場レベルの最高の警備・警戒態勢がとられているという。1000人の警備員と600人の兵士が配置されている。「少しでも必要があればためらわずに発砲するよう命じられている」ということだ。

<”武器”はもちろん警備員のすべての所持品が厳重に管理されている>

「テロリスト監禁センター」の定員は4万人。受刑者を収監する建物は8つあり、基本的にはそれぞれが同じ作りだという。私たちはそのうちの1つに案内された。

まず目につくのが武装した警察官や兵士たちだが、全員が顔を隠している。万が一、この場所で働いていることが外部のギャングに知られ、危害を加えられることを恐れているのだろう。

取材に同行してくれたエルサルバドル人の通訳とドライバーも緊張しているように見える。

<受刑者を見つめる警備員 ほとんど言葉を発することがない>