豊洲市場の仲卸業者が魚の“移動販売”をしたり、“お手軽”寿司店を開店し人気になっています。一体ナゼ“場外”で勝負することに?

表参道で人気の“お魚トラック”

東京屈指のオシャレタウン、表参道。
駅から徒歩5分ほどの一等地に立つタワーマンション「都営北青山三丁目アパート」(東京・港区)の敷地の一角では、1台の軽トラックに群がる人たちが…。

次から次へとやってくるお客さんのお目当ては、海鮮丼に寿司、刺身に魚の切り身!
マグロや“高級魚”のどぐろが入った握り寿司は7貫で900円。

他にも真鯛の切り身(2切・500円)や刺身盛り合わせ(5種・900円)など、荷台の冷蔵ケースには新鮮で美味しそうな商品が並びます。

70代女性:
「お刺身買ったり、あとはアジフライにするアジを買ったり。アジフライにしても“味”が濃いかな」

事前に予約をすれば、苦手な寿司ネタを変えてくれたり、魚のウロコや内臓処理もしてくれるこの“お魚トラック”、実は豊洲市場の仲卸『亀和商店』の移動販売なのです。

仲卸なのに「移動販売」ナゼ?

本来、仲卸とは「市場で魚を買い付け飲食店やスーパーなどの業者に魚を卸す」お仕事。私たち消費者に直接魚を売ることはないはずですが、どうして移動販売を始めたのでしょうか?

『亀和商店』和田一彦社長:
「家で自分で魚を料理して食べることがだんだん少なくなってきている。魚が売れない、そうすると生活できなくなってしまうので」

そう、農林水産省のデータによると「魚介類の消費量」はここ20年で4割ほど減少。街で聞いてみても…
「全然食べないですね」(20代男性)
「グリルの掃除がちょっと面倒くさい」(20代女性)
「お魚が高くて買えない」(20代女性)

さらに、コロナをきっかけに取引先の注文が激減し、1989年には1794社あった仲卸業者は、2022年には933社と約半数に…。(出典:東京中央卸売市場)

そこで!豊洲市場を飛び出し「直接お客さんに魚を届けたい」と移動販売を始めたといいます。
すると利用するお客さんにとっても嬉しいコトが!

80代女性:
「この辺はスーパーもなくてお魚が買えなかったけど、助かっています」

「身近なところに“買い物難民”がいることに気づいた」と話す和田社長。
表参道のタワーマンションをはじめ、都内の団地や高齢者向け住宅などと契約し、1日に5か所前後回っているとのことです。