山手線のバリアフリー状況を一緒にチェックする

今回、欠端さんと一緒にJR山手線のバリアフリー状況を見てきました。
欠端さんは車椅子用のドアがどこにあるか、ホームが狭くなっていないか、エレベーターの位置など細かいところまでチェックしていました。

電車とホームの間の段差や隙間が小さければ欠端さんはひとりで車椅子をこいで電車に乗りますが、車椅子で乗れるマークのある、ホームに突起を作ってを電車のドアとの隙間を狭くしたバリアフリー対応でも、各駅ごと段差や隙間の大きさに差があり、困ることがあると欠端さんは言います。

欠端さんが山手線のホームをチェックしている様子

欠端厚志さん
「駅で注意してみるのは電車とホームの間の段差と隙間です。僕だったら段差は3センチぐらいだったらいけるけど、5センチあるとちょっとひとりで車椅子で電車に載るのはきつくなる。ホームとの隙間は5センチぐらいだったら、まぁいけるかなと思うんですけど、それより広いと、越えられるかわからなくなる。乗り降りしたことがあって、状況が分かっているホームがあれば、いけるかいけないか、判断がつく。だけど乗り降りしたことのないホームだと、ドアが開いてみないとわからないので、困りますね。駅員に声をかけてスロープを用意してもらう方法もありますが、そうすると降車駅の同じドアに駅員を配置するのに時間がかかったり、スロープを頼まないで乗ったら、降りる駅では隙間が広かったりするとどうにもならないですし、隙間が広く見えるホームを一人で降りて、隙間にはまってしまうこともあるので、恐怖との戦いがあります」

こうした困りごとは実際に利用した当事者でないと分かりにくい要素です。
欠端さんは文化施設や公園などでも、このように細かく調べてサイトに掲載し、それによって車椅子ユーザーにとって、かゆいところに手が届くような 具体的で有益な情報のあるサイトになっていることが分かりました。

欠端さんはこうした情報を社会にフィードバックして、今後のバリアフリー充実に反映させられればと言っていました。

欠端厚志さん
「僕はかなり重度な障害で、世の中に僕が泊まれるホテルは本当に全国で数軒です。電動ベッドかつサイドレールが割れてるタイプじゃないと乗り移りできないので。それに対比して、何かで聞いたことあるのはペット歓迎のホテルって1万室ほどあるそうです。重度障害の人間が泊まれるホテルがペットに比べて1万分の5ぐらいの歓迎率って、ペットOKなのに車椅子はダメなのか?って思うしかないですよね。そういうところにバリアフリーの『偏在』があるんですよ。でも、そういう部分には、泣き寝入るしかないのが現状です。ただ、施設側がもし『あ、彼に使わせられないで帰っちゃったな』っていう失望を持ったとして、それが僕に続く人間が 2人3人4人10人、100 人といれば、施設側も『みんな失望させて帰っちゃうな、これは改善したい』と思うかもしれない。そう思われたら正解なんですよ。それに対して車椅子ユーザーが、最初から出かけなさすぎるから解消されない事情も若干あるんじゃないのかと感じます。だから、もっと車椅子ユーザーに外出してもらうために『バリアフリーマップ』はあると思ってます」

こうしたサイトの情報から、施設側が気づく改善点も多いと思います。
バリアフリーの「偏在」が解消されて車椅子ユーザーにとって外出が負担にならない社会にしたいと思いました。