ソーラーシェアリングで自然栽培米を生産

「推譲」を一緒に企画したのは、ソーラーシェアリングに取り組んでいる小田原かなごてファーム代表の小山田大和さんだった。

小田原かなごてファーム代表 小山田大和さん

ソーラーシェアリングは営農型太陽光発電のことで、農地に太陽光パネルを設置して、発電と同時に農業も行う。小山田さんは、2015年からソーラーシェアリングを始めて、2018年からは水田で取り組もうとしていた。

ソーラーシェアリングに取り組む水田

「米を生産しても農家は全く儲かりません。足柄平野ではもともと水田だった土地の多くが、耕作放棄地になっています。発電と組み合わせることで儲かる仕組みができれば、米の生産を続けることができると思い、水田でのソーラーシェアリングを始めました」

農作業をしやすいように、太陽光パネルは1本足型の支柱で設置されている。パネルは1枚あたりの面積が広いものを使っていて、その分発電量も大きくなる。一方、水田では農薬や肥料を使わない自然栽培の手法を採用。収穫量は多くはないものの、米を販売した金額の10倍から15倍の売電収入がある。

1本足型の支柱で設置された太陽光パネル

井上さんと小山田さんは地域の勉強会などで面識があり、ソーラーシェアリングを活用して日本酒を造ることを2人で発案。水田で発電した電力を、電力会社の「みんな電力」を介して酒蔵で使用するとともに、自然栽培米による日本酒作りを始めた。