深夜のインターネットカフェの女子トイレの個室。タイル張りの床に座りこんだ母親によって、この世に生を受けた女の子。母親の手によって、顔に被った膜を外され、右目を開いて、両手を動かした後、女の子の視界は、産声を上げる間もなく、再び暗闇に包まれた。

「赤ちゃんの遺体があった。燃やされている」

2日後の午前6時45分頃。女の子の存在を明らかにしたのは、海岸にいた釣り人からの110番通報だった。

殺人、死体損壊、死体遺棄の罪に問われたのは、住居不定・無職の女、25歳。女は2023年5月、静岡県沼津市内のインターネットカフェの女子トイレで、出産したばかりの女の子にブランケットを固く巻き付け、窒息させて殺害。千本浜海岸で遺体をたき火の中に入れて焼き、損壊、遺棄した罪に問われていた。 

事件発生から1年半近く経った2024年10月28日、女の裁判が始まった。

「間違いありません」

女は、か細い声で自らの罪を認めた。