長期投資のチャンス 2025年の注目株は

――――日米以外の株では成長が著しいインド株は。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
9月下旬くらいから調整局面に。さすがに割高すぎたのだろう。いわゆる値幅調整が起きていると思う。もう一つは、今年4月から6月にかけてインドの総選挙があった。モディ政権は一応続いた。第3次モディ政権に入ったが、連立になってしまった。モディ首相の政党が思ったほど勝ちきれなくて。それで少し政治が不安定化するかもなんていう懸念もある。もう一つ、インドの経済成長率そのものが若干スローダウンしてきている。

そうは言っても、まだ今年来年7%弱の成長が見込まれているので、中国より遥かに成長率は高い。今少し値幅調整が起きているが、ゆったり上がったり、上がっては大きな調整を繰り返していくだろう。長期投資では全然やめる必要ないと思う。

――――もう一つの注目がベトナム株。今年の値動きはそれほど上がっているようには見えないが・・・

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
ほぼレンジレンジ相場。1年間だとあまり上がってないが、4年前と比べて2倍ぐらいになっている。リターンにすると年率20%弱。4年前に100万円投資したら今200万円ぐらいになっている計算。ベトナム株の投資信託もいろいろなものがあるが、いずれも手数料が少し高めの1%台後半、1.7%とか1.9%。ただリターン20%をくれるんだったら、つまり18%は自分の手元に残ることに。今後も20%で伸びる保障はもちろんないが、IMFの予想ではベトナムの成長率は去年が5%、今年5.8%、来年6.5%。成長が加速する見込みだ。
その理由はまず国が若い。平均年齢は30歳。

――――ベトナムは若者がたくさんいる渋谷みたいな国。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
過去の経済統計を見ても30代が多い国は消費も旺盛で人口も増えていくし、成長率が高い。それからベトナムを注目するもう一つの要因は中国からいろんな企業が生産拠点をシフトさせている。ベトナムとかインドとかに。そういうのもあって輸出が増えている。

ただ、中国向けの関税をアメリカが引き上げると、最も影響を受ける国の一つでもある。ベトナムから中国に輸出しているから。関税の影響を受けるので、大きめの調整、株価も一旦大きく下がるかもしれないが、経済成長自体は著しいので、手っ取り早く儲けようという国ではなくて4年後、また2倍になってくれたらいいなという観点で投資する先だと思う。

――――来年の鍵を握るのはトランプ次期大統領の関税政策がどうなるのか次第か。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
来年、アメリカ株、インド株、日本株どれがいいですかとか聞かれるが、正直わからない。トランプ氏次第。端的に言えばアメリカ株がいい。ただアメリカ株は少し割高なので、どこかで大きめの調整はあり得る。それは知っておくべき。

――――来年は新NISAが2年目。どう投資していくのがいいのか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
トランプ政権はどんなに長くても4年間。株も為替も今まで以上に乱高下が起きるかもしれない。ただ10年後20年後は今より高いはずだと思えば、たとえ乱高下しても怖くなって、投資をやめるとか、売る必要は全然ない。むしろ2024年8月5日みたいに大きく下がったときは「チャンス」と思って、少し買い増しするとかそのぐらいの投資戦略でいいと思う。

――――最後に投資のプロから相場の格言。「我々が望む株式保有期間は“永遠”だ」

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
ウォーレン・バフェット氏の言葉。でもバフェット氏は今、現金比率をすごく高めてるらしい。やはりアメリカ株を割高と見ているんだと思う。それが正解かどうかはともかく、バフェット氏はもう一つ「もし証券取引所が10年間クローズされても構わない銘柄を買いなさい」と言っている。

――――「10年後も信頼できる企業に投資しなさい」ということか。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
10年間売らずに済む銘柄を買えと。その銘柄を探すのが大変。見つけるのが難しい。

――――とにかくこの言葉にあるように、長期投資か。

ニッセイ基礎研究所 井出真吾 氏:
理想は“永遠”だと言っている。