「今こそ声を上げるべき時」国交正常化50年に決意

日中国交正常化50年を迎えた今年。楠本さんは、ある決意を固めました。

「今こそ、声を上げるべき時だ」

50年の節目にも関わらず、両国首脳の往来はありません。政府には、日中関係をよくしようという気持ちがないのではないか?残念で仕方がありませんでした。

「日中関係のため、輪を広げてやりたい」

初めて大々的に献血を呼びかけることにしたのです。集まったのは7人。
「都合がつかなくて献血には行けないけれど応援している」というメッセージもたくさん受け取りました。

献血に参加した人たちは…

40代女性
「楠本さんの呼びかけに賛同して参加しました。夫が中国人で子どもは日中ハーフだし、日本と中国は仲良くやってほしい」

30代男性
「日本にいる時から社会貢献になるので献血はやっていました。このような目に見えないくらい小さな動きが徐々に広がって、日本人、中国人、お互いに好感がもてるようになればいい」

40代男性
「楠本さんが10年続けてきたというのに感動して、私も何かできればと思って参加しました。歴史は変えられないが、歴史に新しい意味を付け加えることができたら」

50代男性
「シンプルに、人と人とが助け合うということでいいんじゃないか。中国だからやる、という気持ちではなく、自分はインドでも日本でも、どこでも同じことをするだろう」

■10年目の献血終え…これからの日中関係に願うこと

楠本路子さん

10年目の献血を終えた楠本さんは…

「今年も無事に献血ができてよかったです。中国では献血は60歳までと制限があるので、60歳まで続けたい。もちろん献血以外にもっといい方法が見つかればいいのですが、政治力も経済力も影響力もない私が今、できることはこれしかない

10年分の献血記録


2012年9月18日、SNSが日本にとって悲しい投稿であふれていたことを、楠本さんは忘れません。今年も「9.18を忘れるな」などといった反日投稿が散見されました。しかし例年よりも少なくなっていると感じています。

「10年前には戻ってほしくない」 楠本さんの今の願いです。

JNN北京支局長 立山芽以子