西日本に多い”忠勤藩”はすべて県名に
白地図に、書き込んでみました。北海道(蝦夷地)と沖縄(琉球国)を除き、県名と県庁所在地の名前が違うのは、島根県(松江市)、岩手県(盛岡市)、私の故郷の群馬県(前橋市)など15県あります。

ただ、栃木県(宇都宮市)と山梨県(甲府市)、滋賀県(大津市)の3県は、小さい藩がたくさんあって、県名が賊軍によるものかどうか、判別は困難と言います(ジャーナリスト・半藤一利さんの見解)。
明治維新に功績があった大きな藩、”忠勤藩”とされているのは9つ。秋田を除いて西日本に集中しています。確かにどの県名も藩の名前と一致していました。
【忠勤藩 9藩】
鹿児島藩→薩摩国に鹿児島県
山口藩 →長門国に山口県
高知藩 →土佐国に高知県
福岡藩 →筑前国に福岡県
鳥取藩 →因幡国に鳥取県
広島藩 →安芸国に広島県
岡山藩 →備前国に岡山県
秋田藩 →羽後国に秋田県
佐賀藩 →肥前国に佐賀県
(ただし佐賀だけは翌年に旧伊万里県を改称して復県)
記入した白地図を見ると、県名と県庁所在地名が違う県は、かなりの確率で”朝敵藩””曖昧藩””徳川一門”で、明確に分かれているとわかります。
「あいまい藩」は当初すべて県名に不採用

態度があいまいで日和見だった”曖昧藩”を見てみます。宇和島藩は当初、「神山(かみやま)県」と付けられ、金沢藩は郡名の「石川県」。津藩は「三重県」、これも郡の名です。津県や金沢県になっていないのです。
【曖昧藩 8藩】
宇和島 神山県→愛媛県(松山) 山名
金沢 石川県(金沢) 郡名
岩槻 埼玉県(さいたま) 郡名
土浦 新治県→茨城県(水戸) 郡名
津 三重県(津) 郡名
熊本 白川県→熊本県(熊本) 川名
徳島 名東県→徳島県(徳島) 郡名
富山 新川県→富山県(富山) 郡名
今では県名と県庁所在地名が一緒になっているのですが、当時は違ったのが熊本・徳島・富山です。熊本藩は当初、「白川(しらかわ)県」と言いました。川の名前です。徳島県は「名東(みょうどう)県」となってから「徳島県」に。富山藩も「新川(にいかわ)県」。宮武外骨が言う”曖昧藩”8藩は全て、郡・川・山の名前を付けられています。