複雑な裁判、「共謀の有無」はどうなる?
前述したとおり、この裁判の争点は「直哉被告と敦子被告の共謀の有無」だ。
検察側は、「敦子被告が『霊媒師JUN』になりすまし、実行犯である直哉被告に殺人の指示を出していた」と主張している。
しかし、今回の直哉被告への被告人質問を経て、「ある疑念」が生まれた。それは、「『霊媒師JUN』が直哉被告に直接殺害の指示を出していないのなら、たとえ敦子被告が『霊媒師JUN』だったとしても共謀は成立しないのではないか」というものだ。直哉被告は「霊媒師JUN」とのLINEを自分なりに解釈し、隆一さん殺害に至ったと話している。あくまで「自らの判断」で隆一さんを殺害したのなら、事件を敦子被告との共謀に結び付けるのは難しくなるのではないだろうか。
裁判は複雑怪奇を極めている。被告人や証人の主張はところどころで食い違い、絡み合う人間関係の中には架空の人物や誰も会ったことのない人物が登場し、話をさらにややこしくしている。
判決は11月25日に言い渡される。