連日お伝えしているいわゆる「年収の壁」。103万円、106万円と様々違う数字が出てきますが、何が、どう変わろうとしているのでしょうか。
“106万円の壁”撤廃へ 手取り減る人も

良原安美キャスター:
いわゆる年収の壁、国民民主党が訴えている「103万円の壁」引き上げです。こちらは所得税の発生ラインを178万円にすることで“手取り増”を目指すものです。
一方、「106万円の壁」を撤廃すると、厚生年金などの加入義務が発生し、手取りが減ってしまう方が出てくるというものです。

「106万円の壁」は、▼年収106万円以上、▼従業員51人以上、▼週20時間以上の労働、これら全てが当てはまると社会保険の加入義務が発生するというものです。
例えば、会社員の夫がいる扶養のA子さんは従業員100人の企業でパートをしています。週20時間以上勤務していて、年収105万円だった場合は、所得税、住民税、雇用保険料がかかって手取りは103万8000円です。
一方で、年収106万円を超えて108万円稼いだ場合、所得税、住民税、雇用保険料に加えて厚生年金と健康保険料がかかり、手取りがぐっと下がって91万5000円になるということです。

例えばスーパーアキダイでは、従業員が約200人います。年末に残業のお願いがあったとしても、106万円が迫っているのでシフト以上には働けないといった“働き控え”が起こるというわけです。

「106万円の壁」について、厚労省は撤廃の方向で調整をしています。
具体的には、▼年収106万円以上、▼従業員51人以上の二つの項目を撤廃し、▼週20時間以上労働している人が社会保険に加入義務が発生する方向で調整が進められています。
撤廃の狙いは、将来受け取る年金額を増やし、老後の保障を手厚くするためです。もし撤廃すると、約200万人が新たに加入対象になります。
SNSでも様々な声が聞かれています。

▼反対意見
「撤廃されると、国民の多くが痛手だと思う」
「都市部では、今以上に労働時間を少なくしなければいけない人も多い」
▼賛成意見
「老後に厚生年金が貰えるのはだいぶ大きい」
「より多くの人で(保険料を)負担したほうがいい」
井上貴博キャスター:
働いた分、保険料を納めて後々年金として受け取ってくださいということなのでしょうが、今、手元に手取りが欲しいという方からすると批判的になるのも当然だと思います。
ただ、今の最低賃金で週20時間以上働くと、概ね106万円に到達します。そのため、そもそも壁の意味はあるのでしょうか。そういった部分も含めて、もう少し丁寧に説明していただきたいです。

元競泳日本代表 松田丈志さん:
最低賃金も少なからずこの30年間で上がってきています。そういう意味では、そもそも制度の作り自体が古いということもあるかもしれません。また、働かない方が手取りが増える仕組みはそもそもおかしいのではないでしょうか。頑張ったら頑張った分、報われる社会でないと社会としての活力が出てこないのではないかと思います。