このころ誕生したのが「やぶ金うどん」です。短い移動時間内に食べてもらうため、新徳國公会長が当時、導入したのが、東京で目にした「立ち食い」スタイル。6種類の魚から出汁をとるなど、“早くておいしい”うどんは、桜島フェリー名物になりました。

(新徳産業 新徳國公会長)「ありがたいと思う、それしかない。味を落とさないこと、売れるからといって、いい加減なことは絶対したらいけない」

当時200円だったかけうどんは、現在500円。就航当時は10銭から15銭だったフェリーの運賃は、現在250円。この夏、5年ぶりに値上げされました。

背景にあるのは厳しい経営状況です。

桜島フェリーは、ピーク時の1997年度には収益がおよそ1億4600万円と事業開始以降、おおむね黒字経営が続いていました。しかし、2015年度以降は2億円から7億円以上の赤字が続いています。

東九州自動車道と大隅縦貫道が鹿屋まで開通したことや、新型コロナによる利用客の減少が主な要因です。