ただ、夜明け前から暗くなるまで1人でパンを作り続ける日々は多忙を極めたといいます。

小野綾子さん:
「忙しすぎて体力が持たなかったっていうのと、お店を経営してくっていうのは本当に半端ない体力・気力必要なので…」
惜しまれつつも、開店から10年、2023年12月に店を閉めました。
ところが、閉店したはずの店を訪れると、店主の小野さんのパンを作る姿が…。
工程を見ているとその理由が分かってきました。
焼きあがったデニッシュの仕上げをするのは、一緒に働く、娘の詩織(しおり)さん。
小野さんの娘・松坂詩織さん:
「完成です」
(このあとどうする?)
「梱包して、冷凍にします」
焼きたてのパンが向かう先は、店頭の陳列棚…ではなくなんと「冷凍庫」!
焼いたパンはすべて冷凍し、「冷凍パン」として販売するというのです。
店の外に出た小野さんが、向かったのは…
(何するんですか?)
「補充します」
そこにあったのは、自動販売機。

作った冷凍パンは、この自動販売機で売っています。
2023年の閉店以来、度々寄せられていたという、「もう一度、ヴェグリのパンを食べたい」という声に応えるために…。
国の補助金制度も活用し、「冷凍パン自販機」という新たな事業形態にチャレンジ!
今年6月、再スタートを切りました。
小野さん:
「粗熱が取れたら、なるべく劣化が始まる前にシールして、早く冷凍にして美味しさを閉じ込めておきたいので…」
これまでとレシピは同じですが、自販機に入るサイズにするため一部のパンは、形を変更。
封をし終えたらすぐに、新たに購入した冷凍庫でしっかり凍らせます。

冷凍パンの自販機は現在、店舗の前と塩尻市内の別の場所のあわせて2台が稼働しています。
森記者:
「いろんなパンがあって迷ってしまいますが…季節限定のマロンデニッシュを買ってみようと思います。商品を選んで…お金を入れます」
「お!出てきました。冷凍パンなので当然ですが、つめたいです」
種類によって1個入りから3個入りで、価格は300円から600円ほど。
およそ50種類のメニューから、定期的に入れ替えます。