「旧統一教会の実態把握」が大事 民主主義から"はじかれる信者"に危惧

衆議院の閉会中審査で答弁する岸田総理(9月8日)
 秋の臨時国会では旧統一教会問題がクローズアップされ、とりわけ「法整備」の行方に注目が集まっている。立憲民主党は「カルト被害防止・救済法案」を作成中で、野党ヒアリングには2世信者が呼ばれ「高額献金を規制するべきだ」と訴えた。日本維新の会も弁護士から被害実態のヒアリングを行うなどしており、信者らの所得に応じ、寄付の上限規制を設けることが可能か検討するなど、法案を準備中だ。自民党は岸田総裁が、党の消費者問題調査会の下に小委員会を立ち上げ、被害防止や救済について検討するというが、あくまで現行法下でできることを模索するという姿勢だ。(9月8日に行われた閉会中審査での総理答弁)
大岡敏孝衆院議員

 大岡議員は「必要な法改正は躊躇するべきではない」とする一方で、まずは旧統一教会の実態を把握することが大事だと訴えた。

 さらに大岡議員は次のように今の状況が続けば"憎しみの連鎖"を生みかねないと独自の見解を語った。

 (大岡敏孝衆院議員)
 「今の論調は、過去に何をやっていたのか、今何をやらせているのか、こういった事実認定や分析をしないまま、旧統一教会の信者やその関係者を『十把一絡げ(じっぱひとからげ)』にして、連座制を適用して"全員悪人"と、民主主義から排除すると。彼らは国民でありながら、民主主義政治にアクセスできないということになるので、今そういう方向に進みつつあるのを、私は危惧している」

 確かに、旧統一教会問題の報道が続く中、現役信者がおかれている社会的な状況はあまり伝わってこない。
鈴木エイト氏
 旧統一教会の問題を長年取材している鈴木エイト氏はMBSの取材に対して次のように答えている。

 (鈴木エイト氏)
 「現役の2世信者のケアーなどをどうするのか、国や自民党は基準を出して、信者の人権を守った上で相談に乗るべきではないのか。カルト問題の本質は、中の人は"被害者でもある"という視点で、山上容疑者のような社会から隔絶された存在を増やしてはいけない」
大岡敏孝衆院議員
 実名が公表された自民党の議員から積極的な発信が乏しい中、あえて発言する大岡氏の意図はどこにあるのか。それは「壮大な言い訳」なのか、それとも「危機感の裏返し」か。旧統一教会をめぐる一連の世論に、一石を投じることになるだろうか。

 毎日放送報道情報局 解説委員 三澤 肇