衆院選で自民党大惨敗のニュースが全国を駆け巡ってから僅か3日後。私は国会議事堂の近くにある国会議員の議員宿舎で一人の前国会議員と待ち合わせをしていた。「もう仕事がないので…いつでもどうぞ」と取材時間にも制限はなかった。
愛知1区で自民党から立候補した熊田裕通前衆院議員。2012年の衆院選で自民党が民主党から政権を奪還した時に初当選した、いわゆる安倍チルドレンの一人だった。その後、小選挙区で3回当選し、地盤を守ってきたが、今回は日本保守党から出馬した前の名古屋市長、河村たかし氏に敗れた。

公示直後、「自分は派手好きなので、河村氏の立候補で全国的にも注目されてむしろ嬉しい」そう語っていた熊田氏。決して強がりではなくホンネだと感じたが、まだその時は裏金問題による大逆風と選挙モンスターの異名を持つ河村氏の底力を甘く見ていたのかもしれない。