自民党は旧統一教会との過去のかかわりを調査するとしながら調査漏れ、申告漏れが相次ぐ。とはいえ今後は一切の関係を断つとした。つまり旧統一教会が関係を持つにふさわしくない団体であることを政府与党が公言したことになる。
一方、旧統一教会側は日本人信者からの金集めを控える様子はない。
同教会は韓国・清平に“天一国”なる理想郷を建設中で、2023年5月には中心施設となる“天苑宮“を完成させる予定だ。その完成までに日本の信者家族、一家族183万円の献金を求めている。金額の根拠は、完成時、文鮮明教祖が生きていたら103歳で、韓鶴子総裁は80歳になる。2人の年齢を足した数字だというからふざけている。
こうして、信仰という一種のマインドコントロールによって高額献金をさせる旧統一教会のやり方に生まれながらにして取り込まれている人たちがいる。信者の子供、宗教2世だ。旧統一教会の場合、信者の儀式“合同結婚式“で結ばれた夫婦の間に生まれた子供を“祝福2世“と呼んでいる。
番組では、実際に“祝福2世”として生まれ育った女性をスタジオに招き、生々しい実体験を語ってもらった。
■「ただ貧乏なんだと思っていた。家に壺とか印鑑はありましたけど…」
スタジオに来てくれたのは、小川さゆりさん(仮名)26歳。
両親は合同結婚式で結婚。父親は元教会長で、両親ともに現在も熱心な信者だ。小川さんは6年前に“脱会”。信者ではない男性と結婚、子宝にも恵まれた。
今回、マスクをした姿とはいえ、顔を出し、音声を変えることもなく生出演に応じた。脱会後、SNSで宗教2世の話を聞き集めるうちに、自分より過酷な境遇の人たちがいることを実感し、“自分にも何かできないか”という思いからメディアで発言することを始めたという。まずは、子供時代の生活を聞いた。
旧統一教会を脱会した宗教2世 小川さゆりさん(仮名・26歳)
「両親が高額の献金をしていたので、ずっと貧しくて、がまん我慢の毎日でした。物を買ってもらえなかったり、髪は親が切っていたり、お小遣いがもらえなかった。お年玉など周りからもらったお金は親に没収された。服はお下がり、とにかく周りからの見た目でも貧しい感じ。それを理由に幼少期も長期にわたっていじめを受けたりした…。
(中略)幼少期は、ただ貧乏なんだと思っていた。家に壺とか印鑑はありましたけど、そこまで高額なものとは知らなかった。家がもともと貧しいから我慢しなきゃいけないんだよって言われてきたから、そんな高額な献金をしているせいで貧しいとは気づけなかった」
■「あなたたちは罪がある人で、しもべのしもべ」
子どもの頃の辛い記憶を淡々と語る小川さんに、番組が入手した旧統一教会の内部文書を見てもらった。表題は『二世の生活指針』。日常生活から人生にかかわることまで多岐にわたり何項目もの指導が羅列されている。
例えば…
▼この世の結婚は絶対にいけない(合同結婚式以外認めない)
▼異性問題は毒薬であり「私」を殺す(恋愛禁止)
▼男女は絶対同じ部屋に二人でいてはいけない
など、祝福2世は自由恋愛や恋愛結婚は罪悪と教え込まれるようだ。

旧統一教会を脱会した宗教2世 小川さゆりさん(仮名・26歳)
「二世信者っていうのは恋愛禁止っていうのがいちばんメインになっていた。普通の人が堕落するより罪なこととされ、自分も礼拝ではそれを重視して教育された。でも思春期になると好きな人ができたり、そういう感情が自然と湧いてくる。それを否定されるのが辛かった。親も教団の人も否定してくるから相談もできない…」
他にも『二世の生活指針』にはこんなものも…
▼おへそが出るような服はサタンが好むので着ない
▼絶対服従をする生活をしよう
旧統一教会を脱会した宗教2世 小川さゆりさん(仮名・26歳)
「そもそも教育で『あなたたちは罪がある人でしもべのしもべのつもりで生活しなければいけない』と。だからお祈りの時も信者はいつも『申し訳ございません』『お許しください』っていう内容が多い」
また、お金に関する教えも多い。
▼神様のお金を自分のお金のように使う人は毒薬を飲むのと同じだ
つまり、自分で稼いだお金も神様のものであって、自分のものではないという考えか。
旧統一教会を脱会した宗教2世 小川さゆりさん(仮名・26歳)
「教会には“十分の一献金(所得の1割を献金する)”という言葉があってニュースでも聞くと思うんですけれど、あれは本来は十割、全額ささげなければならない所をたった十分の一ささげるだけで許してもらえる。サタン世界から稼いできたお金を十分に一、神様に返すだけで認めてもらえる。だから感謝しなければ…っていうような教えを受けてきた」
特殊な教育受け、貧しさに耐えたのは小川さんばかりではない。