トランプ氏にとって一番“おいしい”シナリオは

 では、中東情勢はどうなるのか。中東ジャーナリストの池滝和秀氏は、トランプ氏はより強くイスラエルを支持し、ガザへの攻撃を容認するのではないかと見ています。一方でトランプ氏は“交渉・取り引き”がウリだということです。

 村田教授は中東情勢について、トランプ氏はパレスチナの子どもたちが殺されているといった批判には“鈍感”で、はっきりとイスラエルを支持するだろうという見解を示しています。そしてハマスやヒズボラをできるだけ弱体化させようとしていることは間違いないだろう指摘します。

 トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相に「1月20日の大統領就任までにガザの紛争を終わらせてほしい」と伝えたと言われています。この意図についても村田教授に見解を聞いたところ、トランプ氏からすれば、就任までにこの紛争が解決すればバイデン大統領の“手柄”になるため、お膳立てができていて自分が就任してから最終的に収まるのがトランプ氏にとって一番“おいしい”シナリオだということです。

 そして、こうした戦争や紛争の経済への影響については、「仮にウクライナで簡単に休戦せず、中東でも紛争が拡大すれば、原油価格は上がり、食料価格は上がったままになる」とした上で、さらにトランプ氏が中国や同盟国に関税をかけるということになると、国際経済に非常に大きな影響が出ると村田教授はいいます。また、トランプ氏は富裕層は減税するとも言っているため、そうなればおそらくドルが強くなって円が弱くなり、為替的にも日本は苦しいのではないかということです。

 トランプ氏をめぐっては来年1月6日に上下両院合同会議で選挙人票の開票があり、ハリス副大統領が結果を発表。その後、1月20日に新大統領にトランプ氏が就任します。