シリーズSDGsです。ラーメン激戦区の東京で、耳の不自由な人たちが営業している人気店があります。店主は聴覚障害者で、元プロレスラー。異色の経歴を持つ店主が作るのは、みんなを笑顔にする最高の一杯です。
東京・台東区にある人気のラーメン店。店内は混雑していますが、ラーメンをすする音がよく聞こえるほど静かです。
厨房をのぞくと、従業員同士が手話でやりとり。ほとんどは耳に障害があり、店長の毛塚和義さん(44)も生まれつき耳が聞こえません。
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「店は聴覚障害の従業員だけなので、聞こえる人たちが入りづらい。聞こえる人たちに来てもらうために、美味しいということが大切」
一番人気は鶏ガラと魚介を使った特製しょうゆラーメン。味の好みは、券売機のそばにある木札で伝える仕組みです。さらにこんな工夫も…
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「これはしょうゆ。これは塩」
従業員同士がどのラーメンを作っているか一目でわかるよう、どんぶりの種類を変えているのです。
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「できないことは考えずに、できる方法を考えてやってきました」
毛塚さんはラーメン店を営む前、聴覚障害者のプロレス団体を旗揚げ。自身もレスラーとして活躍しました。2016年に引退しましたが、お客さんを喜ばす仕事を続けたい気持ちから、ラーメン作りの学校の門を叩きました。
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「学校に入った時には(授業中)先生から筆談はなく、書いてもくれず、ずっと喋るだけ」
結局、授業が終わった後に筆談で何度も質問に行ったり、ほかの生徒のノートを写したりしながら学ぶしかありませんでした。
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「耳が聞こえる人たちは、聞こえない人たちをできないと判断していることが多いと思います」
昨年度、就職を希望した聴覚と言語障害がある人のうち、実際に就職できたのはおよそ42%。この店は、働く場所が見つからない人たちの受け皿にもなっています。従業員の一人は…
『麺屋 義』従業員 岡本誠市さん(手話)
「前の会社は、聴覚障害は私1人だったので、言いたくても言えないことが多々ありました。聞こえなくても色々な仕事ができることをみんなに理解してもらいたい。そんな社会になってほしい」
耳が聞こえない人、聞こえる人。お互いを理解するために必要なことを毛塚さんに尋ねると。
『麺屋 義』店長 毛塚和義さん(手話)
「相手とコミュニケーションをしっかりとること、(聴覚障害ある人、ない人)お互いです。一番嬉しかったのは、手話ができなかったお客さんが手話で“ありがとう”“おいしい”と表現してくれたこと」
お客さん
「めっちゃ美味しいですね」
「美味しいラーメンを提供してくれてありがとう」
耳が聞こえるかどうか関係なく、みんなを笑顔にする一杯を作り上げています。
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