日銀 政策金利0.25%維持 米経済が及ぼす影響は…
「103万円の壁」など政策の実現性が不透明な中、10月末に行われた日銀の金融政策決定会合。
日本銀行 植田和男総裁:
経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて、引き続き政策金利を引き上げ金融緩和度合いを調整していくことになる。
10月31日、日銀は政策金利である短期金利の誘導目標を現状の「0.25%程度」に据え置くことを決めた。植田総裁は会合後の会見で、8月以降繰り返していた「ある表現」を今後は使わないと述べた。

日本銀行 植田和男総裁:
「時間的余裕を持って見ていく」という表現は不要になる。普通の金融政策決定のやり方に戻る。
そして、追加利上げの判断材料として特に注視するとしてきたアメリカ経済については、「リスクの度合いは少しずつ下がってきている」と述べた。

この発言から、次回12月の会合での利上げの観測が広がって、円相場は一時1ドル151円台後半まで円高が進んだ。番組のマーケット予想でおなじみの植野大作氏は今後の円相場について、3つのシナリオがあるという。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏:
アメリカ経済は今年から来年にかけて「ソフトランディング」に成功すると思っているので、為替は、140円台後半から150円前後を中心に比較的安定した状態が続くのではないか。
一方でこれから出てくるアメリカの経済指標が悪いものが増えて、「ハードランディング」シナリオが現実味を帯びてくると、今皆さんが想像している以上にアメリカの短期金利が下がるということで長期金利も下がってしまって、再び140円台をスルーして130円台の方に向かうようなドル安局面が来る。
逆にアメリカ経済の指標がものすごく強くて「ノーランディング」みたいな話になってしまうと、アメリカの短期金利も思ったほど下がらず長期金利もむしろ上がってしまって、再び160円を試すようなシナリオもあると思う。
国民民主党との部分連合による影響に関しては…
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏:
為替に対する影響は2つ考え方があって、一つは財政赤字拡張、経済に刺激が入ることで、日銀は利上げに動きやすくなると、長期金利も上がり円高になるという説もあるが、明確な財源措置もないまま国民民主党の要求を丸呑みにして、日本の財政赤字拡大懸念が広がること自体は「円売り要因」になるという考え方もある。
「金利上昇圧力による円高要因」と「財政赤字、財政不安による円安要因」の綱引きになって、どちらに為替が反応するのかというのはちょっとやってみないとわからない。そういう微妙な状況だと思う。