「壁」崩壊は会社員・自営業にもメリットが!
この「103万円の壁」が引き上げられた場合、影響を受けるのはアルバイト・パート従業員だけではありません。普段この「壁」を意識していない給与所得者(会社員など)も、基礎控除・給与所得控除が増えるため、納める税金が減ることになります。
例えば年収400万円の場合、現在は「400万円-103万円」が所得税の対象となりますが、仮にこの「103万円」が引き上げられると、所得税の対象金額が減るため、支払う税金も減ることになります。給料制でない自営業者の場合、給与所得控除は関係ありませんが、基礎控除が増えるため、支払う税金が減ることになります。
この「103万円の壁」を「178万円」に引き上げようと提案しているのが国民民主党。玉木雄一郎代表は「103万円の壁を引き上げて、もっと働けるように、もっと稼げるようにしたい」と主張しています。国民民主党の党本部によりますと、控除の内訳は未定で(11月1日時点)、今後議論を重ねていくということです。
では、この「178万円」はどこから捻出された数字なのでしょうか。「103万円の壁」ができたのは1995年でした。当時の日本の最低賃金は全国平均で611円。そこから約30年経ち、現在の最低賃金は「1.73倍」の1055円となっています。一方で「壁」は103万円のまま変わっていません。
例えば、時給制のアルバイトとして働いた場合、同じ時間働いたとしても、30年前より今の方が多く稼げることになります。ただ、「壁」が103万円のままなので、「働きたいのに、働けない」「働く時間を短くするしかない」状態になっています。そこで、最低賃金が「1.73倍」になった分、「壁」である103万円も「1.73倍」にして、「103万円×1.73=178万円」にしようと国民民主党が主張しています。