WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は9月14日、新型コロナの世界的な流行について、「終わりが視野に入った」と発表しました。しかし同時に、「我々はまだ収束に達していない、マラソンランナーはゴールが見えても立ち止まらない」と言及し、引き続き感染予防策の徹底を求めています。感染減少のカギとなる「ワクチン」と「飲み薬」について、専門家に伺います。

■オミクロン株対応ワクチン 年内に全希望者への接種完了へ


政府は、オミクロン株対応のワクチンを、希望者全員に年内に接種完了したいと表明しました。

松野官房長官は14日
「1、2回目の接種を終えた12歳以上のすべての方を対象に、前回の接種から少なくとも5か月以上の間隔をあけて1回接種する」と説明。

ただ、過去2年、年末年始に感染拡大の波が到来したことを受け、5か月以上とされている接種間隔についても、短縮できるか検討しているということです。詳細については10月下旬までに結論を出す方針で、希望者全員に新ワクチンの年内接種完了を目指すということです。
また、大規模接種会場についても「引き続き開設する方向で防衛省が検討している」と話しています。

恵俊彰:
やっぱり冬になったら去年(2021年)もそうですけれども、“第8波”が来るんですか?

東北大学大学院 小坂健教授:
人の移動などが密になると、第8波というのを考えておかなければいけないですよね。今のところ幸いにして、BA5以外の変異株が出てきて、海外で流行を起こしているわけではないですが、やっぱりそういうものに備えて対応しておく必要もありますし、インフルエンザも流行することを想定しておかなければいけないと思います。

恵俊彰:
10月中にBA1対応が出て、年内にBA5対応も出てというお話で、接種するのに迷う方も多いと思うんですが。

小坂教授:
新しいワクチンはBA1と、これまでの武漢株のハイブリッドということになりますが、
劇的に効くかというと、ちょっとは良いんだけれどもそれほど素晴らしいわけじゃない。今度BA4、5のワクチンが特例承認されるということで、我々は何を打ったらいいんだということになるわけですよね。
また、1回感染した人は、海外だと3か月くらい期間をあけてくださいという話もあるので、どうすればいいかガイドラインを早めに出して欲しいと思っています。

■飲み薬「モルヌピラビル」16日から一般流通を開始


薬についても新しい動きが出てきました。

9月16日からコロナの飲み薬の一般流通が開始します。メルク社(アメリカ)の「モルヌピラビル」というもので、ウイルスの増殖を防ぐ飲み薬です。

▼軽症から中等症の方
▼重症化リスクの高い方

に処方されるものです。
メルク社の日本法人MSDにおいて、薬の生産体制が整い、安定供給の見通しが立ったということで、9月16日から一般流通が開始されます。


モルヌピラビルの供給体制はどう変わるのか。
これまでは、生産されてから厚生労働省に行き、登録センターに登録している病院・薬局のみに配布されていたので、供給量に上限がありました。
9月16日からは、生産されたものが卸業者に送られ、そこからいろいろな薬局・病院に配られ、供給量に上限がなくなります。通常の薬剤と同じように処方がしやすくなります。

恵俊彰:
一般流通というのは、供給に上限があるかないかということだったんですね。

小坂教授:
流通量の上限や、無料提供するということもあって、かなり限られた医療機関だけに供給していたんですよね。ただモルヌピラビルは、ウイルスに突然変異を起こさせ増殖させないというお薬なので、妊婦さんや若い人たちが使えません。だから、他のお薬もこういう形で流通して、多くの医療機関で使えるようになればいいと思っています。

恵俊彰:
いわゆる経口薬の、インフルエンザで言うところの「タミフル」みたいなのはできないんですか?


小坂教授:
そうですね、海外などで使われているお薬は、かなりそれに近いものもあると思っています。ただ、飲み飲み合わせで使えない場合があることと、やっぱり今のように医療機関も限られているんですよね。
アメリカなどのように、薬剤師がすぐ処方して飲めるようにする、感染してから早く飲めるようにするというのは非常に大事なので、他の薬もこういう形で流通すればいいなと思ってます。

コメンテーター 中川翔子:
薬が身近になるのを何より待ち望んでます。もう本当に「我慢する暮らし」がもう少し緩和されていくには、薬次第だなっていうのはずっと思ってます。

恵俊彰:
ワクチンと飲み薬、この2つが揃うと、ようやく日常が見えてくるという感じなんでしょうか?

小坂教授:
そうですね。インフルエンザと同じようになってくるということで。
今のお薬は、高齢者に効くんだけど若い人たちにはあまり有効性が認められていなかったりするんですね。ですから本当にそういうお薬ができてくるといい。
ワクチンも、1回打てばいいものや、変異株にも対応できるような、いろいろなワクチンの開発が競争で進んでいるので、そんなに時間はかからないんじゃないかと期待しています。そういうふうになると、本当に安心できるなと思います。

(ひるおび 2022年9月15日放送より)