■「怒っているからモンスターペアレンツとかクレーマーではない」“攻撃的な親”にどう対応?
親との対応に疲弊して職員が倒れると、子どもたちに危険が及ぶ恐れがある。この問題を解決するため、最新の技術で職員をサポートする取り組みが始まっています。
元児童相談所職員の東京都市大学・宮川哲弥准教授が考えたのは、バーチャル空間を使って職員の研修を充実させること。普段、家庭訪問などの研修では職員同士が親役と職員役に分かれて行いますが、顔見知りのため緊張感が生まれづらいことがあるといいます。しかしバーチャル空間だと相手は見知らぬ顔のアバター。現実の景色も見えないため相手の言葉や表情、声の変化に集中できるというわけです。さらに心拍数などからストレスをチェックでき、バーチャル空間内で第三者が助言することも可能。各地の児童相談所で職員が体験していて本格的な普及を目指しています。

国山キャスターはレクチャーを受けた上で職員役を体験。保護者役は10年のキャリアを持つ現役の児童相談所職員です。
【以下、職員役の体験】

国山キャスター(職員役):
私、児童相談所の国山と申します。
母親役:
・・・はい。
国山キャスター(職員役):
赤ちゃんの泣き声がすると通告がありまして。
母親役:
ちょっと今忙しいのできょうは失礼します。
国山キャスター(職員役):
少しだけお話宜しいですか。
母親役:
ていうか、誰から(児童相談所に)連絡来てますか?
国山キャスターのストレスが少しずつ上昇。そして、誰が通報したのか何度も聞かれると・・・
国山キャスター(職員役):
どなたからというのは私(職員)からお伝えできないんです。
母親役:
え、なんでですか?私の所に来たのにその人のことは教えてくれないんですか?
国山キャスター(職員役):
そうですね、それはお伝えすることは申し訳ないですができないんですね。
ストレスは急上昇。訪問に反発され、家庭のことを話してもらえません。さらに・・・

母親役:
きのうもニュースやってましたよね。虐待で亡くなった子って、私見ましたけど。うちに来てる暇あったらそういう子の対応したらどうですか?こういう所ばかり来てるから大事な子を逃して死なせるんですよ。児童相談所って全然子どもを守ってないじゃないですか。こうやって家庭を壊しているだけですよね?
国山キャスター(職員役):
いえ、私たちとしても家庭を壊す気持ちはありません。
防戦一方となり、またもストレスの値が上昇。ここで、アドバイザー役から助言を受け再びチャレンジします。

アドバイザー役:
国山さん「遠くからでもいいので一目だけでも会わせて貰えませんか」とお願いして下さい。
国山キャスター(職員役):
お子さんの様子を確認させてもらえませんか。遠目からでもうかがえればと。
母親役:
見せないと帰ってくれないってことなんですか。
国山キャスター(職員役):
本当に少しで構いません。遠目からで。
母親役:
奥の部屋で寝てるので、そこから覗くだけにしてもらえますか。
国山キャスター(職員役):
はい、ありがとうございます。
この研修の目的は激しい言葉で隠された親の本当の気持ちに気づき、支援に繋げることだといいます。
東京都市大学 宮川哲弥准教授:
怒っているからモンスターペアレンツとかクレーマーではない。「助けて」という声なんです。働く方が相談する技術がうまくなることでお母さんとか子供たちの笑顔を作れるのではないでしょうか。