合掌造りを支える山の木々

白川郷の合掌造り集落

岐阜県の白川郷も、秋の紅葉シーズンに撮影しました。江戸時代から建てられてきた合掌造りの集落と、暖色系に色づいた周囲の里山。どこか懐かしい、日本の原風景です。

世界遺産「白川郷と五箇山の合掌造り集落」

この里山の森も、昔から伐採や植林を繰り返してきた二次林で、人の手が入ったものなのです。里山はいろいろな形で利用されてきましたが、合掌造りの建材にも山の木々が使われています。梁にはアカマツ、床には耐久性のあるスギやヒノキなどなど。

ミズハリには水に強いクリの木が使われた

特に合掌造り最大の特徴である茅葺きの屋根の棟を固定している部分には、クリの木が使われています。番組でも撮影しましたが、茅葺き屋根から横にいくつも突き出している角材がそれで、「ミズハリ」と呼ばれます。ミズハリは雨風にさらされるため、特に水に強いクリの木が使われているそうです。クリの木も里山にあり、秋になると色づきます。

岐阜県・白川郷

世界遺産で見ることが出来る紅葉の絶景、人がつくったもの以外にも白神山地や富士山麓などの自然が生み出したものも多々あります。こうした日本の世界遺産で撮った紅葉シーンをまとめた特集を放送すべく現在制作中です。

天龍寺の方丈から撮影した庭園

そのため日本各地のさまざまな紅葉を見直しているのですが、夏から秋になって一気に冷え込むと木々は鮮やかに色づきます。まさに四季のある国ならではの美しさだと、番組を作りながら再認識した次第です。

執筆者:TBSテレビ「世界遺産」プロデューサー 堤 慶太