日本の世界遺産には、紅葉の名所がいろいろとあります。番組「世界遺産」でも度々撮影してきたのですが、特にドローンで上空から撮ると、緑の森の中に黄色、オレンジ、緋色と暖色系の木々が点々と入り交じり、印象派の絵画のような美しさです。
人がつくった絶景 京の名庭園

特に印象深かったのが、京都の世界遺産「天龍寺」。ここの曹源池庭園(そうげんちていえん)は日本を代表する庭園のひとつです。

紅葉のシーズンに庭に面した方丈から眺めると、色づいた木々が池の水面にも映り、庭園の背後にはやはり色づいた嵐山が借景として広がる…番組がこれまで撮影した紅葉の中でも特に美しいシーンです。

一見、自然の森のように見える嵐山の森にも、実は人の手が入っています。曹源池庭園が作られたのと同じ約700年前から、カエデやサクラなどが植林されてきました。

現在でもその多くが国有林で、植生は人の手によって管理・維持されています。庭園そのものと借景の嵐山が一体となった眺め、それはまさに人がつくった絶景だったのです。