ハラスメントガイドブックの反響は

事後対応等も含め、40ページを超えるこのガイドブック。どんな反響があったか坂本さんに聞きました。

舞台芸術におけるハラスメント防止ガイドブック

坂本ももさん
「結構心配してたんですね、どう受け取られるか分からなかったので。なかには、やっぱり『表現の幅を狭めるんじゃないか、逆に』っていうようなご意見を多分持つような方もいらっしゃるだろうと。それはこれが窮屈だという事、多分ハラスメントしてるっていう事だと思うんですけれど。概ね、おそらくポジティブなリアクション、こういうものが無かったので。 ただ課題でもあるんですけれども、これが書かれたとて、読まない人は読まないので…」

おしまいに、坂本さんが委縮する事のないコミュニケーションの大切さについて、今後の願いを聞かせてくれました。

坂本ももさん

坂本ももさん
「例えば、海外ではフラットに議論して物を創っていく感覚があるんですけれども、日本の舞台芸術業界は上から伝達されるようなものに従うっていうようなクリエイションが多いので、その違いがハラスメントを生みやすい構造になっているなって思っていて。弱き立場の者も『ちょっと足踏まれて痛いからやめてください』って言えたら本当はよかったんだけれど、それが言えなくて踏まれ続けているから、最後は告発として表れるイメージがあるんですけれど。それは、主催者側は『足踏まれています、痛いです』って言える環境を作らなきゃいけないし、踏まれている側も頑張って『足踏まれています』って言える訓練をしないといけないし、踏んだ側は『足踏んでいました、ごめんなさい』って言わなきゃいけないみたいな。なんか、それができれば、告発に至るまでに解決できることがあるんじゃないかなって思ってるっていうことですね」

このガイドブックをきっかけに、舞台興行の現場が、誰にとっても安全で安心できる環境として創作にのぞめるようになることを願います。

(TBSラジオ「人権TODAY」担当・TBSラジオキャスター 加藤奈央)